猟奇的なキスを私にして (ページ13)

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thirteenth kiss ページ13

全てを愛しているのに、どうしてこうもうまくいかないのか
俺にはやはり彼女は無理なのか？

あれから一ヶ月、彼女と会うことを俺も避けた
彼女は仕事で何度か来ても、なにも言わない。
なにも言わずに俺を見て、ただ立ち尽くすだけ。
その隣には必ずあの男がいて、男が肩をだいていた。
すれ違うときには必ず俺を睨んで、警戒しているようだった

意味もない…
俺は彼女にとって…多分対した存在じゃないんじゃないんやろか

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「拓実！！！周りみろ周り！！！」

南野「はい！」

「できてないねん！そんなんいらんわ！！！」

コーチからの容赦のない声が飛ぶ
どうにもうまくいかなくて、なにをしてもうまくいかない
その理由はわかってる
わかってても、これは解決なんてできないから…

みんなが帰った後も、納得がいかなくて練習を続けることにした
真っ暗ななか、自分のものでないような足を振り抜いて、イライラする

南野「あーー……もう」

ダメや……
もう。
女の人に振り回されて、俺こんなになってしまうんか

寒い
夏なのに寒いよ
Aさん……そばにいてよ

弱い自分がいやだ
でも、それが現実だ
彼女がいなきゃ…こころにずっと寒い風が通り抜ける
空虚な俺でしかないんだ

今日はダメだと見切りをつけ、深夜のコソ練を終わらした。
ダラダラ準備を済ませて、戸締りをした
俺以外残っていないせいで、全ての鍵をかけなければならなくなったからだ

警備員さんもいないほど暗く、通りも車がいない

クラブから出て扉に鍵をかけ、家へ向かおうと振り向くと、駐車場の隅の芝に人影が見える

怖いとかじゃなくて、俺を熱くさせるように心臓が音を立てた

まさか…いや、まさかね
そんなわけ…ない

一歩、一歩と歩めば、
疑惑が確信へと変わった
嘘だ、いや、違う、彼女だ

消えてなくなることなかった
あの日のことと、全てのことが思い出される

暗いなかで膝を抱えて座っているその人

南野「…なにしてるんすか」

ゆっくり顔を持ち上げ、いつもより寒い夜風に冷まされて少し真っ赤になった…Aさん

「やっと来た」

南野「なにしてるん？」

「…あのね。待ってたの」

そうしてAさんは笑った