【d！】海底に沈む[短編] (ページ2)

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if＿tn ページ2

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もしも、明日で世界が終わるなら

そんな、ありふれた質問

「…急にどしたん」

スマホをいじっていた手を止めず、視線さえ此方に寄越すこと無くそう言った

なんとなく

そう。なんとなく、聞いたのだ

もしも、なんて言っておきながら、それが現実になったときのことなんて、きっと誰も考えたことない。予兆もなく滅ぶとすれば尚更。非現実なことは今の世の中誰も相手にしてくれない。

そもそも世界が終わるとか、よっぽどのことが起きない限り、ないだろう。それこそ隕石とか。

みんなどうするんだろ、ニュースはそればっかりで、現実でもSNSでも、荒れ狂うんだろうな。

悶々と思考が深まる。自分の悪い癖

ふと、彼が顔をあげた
バッチリと交わる視線

「殺すで」

いきなりの物騒な言葉に目を丸くする。それでも構わず、終始真顔な彼は続ける

「俺は、お前を殺す。んで、そのあと俺も死ぬ」

やって、俺以外のことでお前が死ぬくらいなら、俺がこの手で殺した方がええやん

その方が、俺を忘れられないやろ

淡々と、それでいて何処か慈愛に満ちたような声色でそう言う。
どろどろに、深く濁った瞳はもう出遅れで

嗚呼、そんな最期も悪くないかも

来るか保証もない未来を少し待ち遠しく感じた