ずっとあたたかい愛の中で (ページ17)

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「俺昼間はああ言いましたけど、河村さん動画でかわいいことするのやめてくれません？」

情事の匂いが色濃く香るベッドではピロートークが定番で、僕も伊沢も、たいそうこの時間を好んでいた。

「伊沢がふたりでいる時みたいな声出すからじゃん」
「えー、俺のせい？」
「お前のせい」

僕が言えば彼は満更でもなさそうに笑って、「ふーん、俺のせいねえ」と独りごちている。
そしておもむろにこちらを向いて、

「世の中ではこういうのをバカップルって言うんですよ」

と言った。幸せそうな表情に、思わず頬が緩む。
伊沢と僕がバカップル、ねえ。

「悪くない」
「へへ。俺たちバカップル」
「ふふ、スマブラみたいな会話してますなんて言ってた頃が懐かしいなあ……」
「いや、今でもたまにするじゃないですか」
「あー、喧嘩してる時はね」

僕たちはひとつ喧嘩すると大概双方が意固地になって、自論の押しつけあいになる。
スマブラなんてかわいいもので、その戦いは大戦に匹敵するほど白熱するのだ。

「……まぁ結局楽しくなっちゃって、気づいた時には終わってますけどね」
「謎現象だよねえ」

自分たちのことなのに可笑しくて笑いをこぼすと、伊沢もくすくすと笑った。

「はー、やっぱ俺たちバカップルっすね」
「そうらしい」

甘い雰囲気のまま、「じゃ、寝よっか」とどちらともなく言って。
いい年をしたバカップルの夜が、眠りの海へゆらゆらと溶けていった。