ずっとあたたかい愛の中で (ページ14)

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「もう満足しました？」

僕の視線に耐えられなくなったらしい。
いきなり引き寄せられて、体が抱きこまれた。
僕の体を感じるかのようにぎゅうぎゅうと力を入れられて、少し苦しい。

「好きです…」

僕の肩口に顔を埋めているのか、聞こえる声はぼそぼそしていた。そのまま、「好きなんです、好きです…」なんて続けて言う。
首元に息がかかって擽ったいのもあって、顔に熱が集まるのが分かる。
でも僕を包み込む体温はもっと熱いから、いつもほどの恥ずかしさはない。
その真っ直ぐな好意が、ただただ嬉しい。

「もう、ほんとに好きです……」
「……ふ、僕も好きだぞ？」

僕が言うと、伊沢はバッと体を離して目を丸くした。そして、

「も～～～……」

悶えながら、元々真っ赤な顔がさらに赤くなっていく。

「それ、駄目です。心臓に悪いんで」
「え～？」

いつもと違う伊沢がかわいらしくて僕がくつくつ笑っていると、彼は覇気のない目で僕をじとりと睨んだ。

「あんたのこと、もっと好きになっちゃうじゃん…」
「なればいいじゃん」

お得意の挑戦的な顔で笑ってやる。
すると、伊沢の目がぱちくりと瞬いた。
そして、幼い顔で「それもそうじゃん」と笑った。
いつにも増して破顔した柔らかい表情に、胸が締め付けられた気がした。
かわいい。好きだ。
そんな感情で心の中が満たされていって、愛情が溢れる。
今日まで好きと言えなかったのが嘘のようだった。
１ヶ月でこれなんて、月日が進んだらどうなってしまうんだ。
末恐ろしさと同時に、期待もあった。
こいつとならどうなっても楽しそうだな、なんて。

……そう思ったことは、まだ、秘密。