ずっとあたたかい愛の中で (ページ2)

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「河村さんが好きです。誰かとずっと一緒にいたいと思ったのははじめてで。俺と付き合ってもらえませんか」

その日は久しぶりに伊沢が家に来ていて、色々な話を肴に酒をあおって深夜、お開きの流れになった途端の爆弾発言だった。

「えぇ……え？」

「そのままの意味です。河村さんが好きなんです、俺」

事態が飲み込めなくてぱちぱちと瞬きをする僕と真っ直ぐこちらを見る伊沢。
Webメディア立ち上げの時を思わせる状況だ。

「知らなかった」

「言ってないですもん。僕はずっと貴方に夢中でしたけど」

「あらま、そうなの…」

沈黙が落ちて、視線だけの攻防戦が続く。
僕、目力には自信があるんだけどな。

「河村さんの作る世界が好きなんですよね」

伊沢からぽそ、と言葉が零れた。なにか言える訳でもないので「へえ」と相槌を打つ。

「一生貴方の世界に浸っていたくて。俺と似てるくせに、俺には無いものを持っているでしょ。そういうところが好きなんです」

「随分熱烈だね」

「そりゃもう。一生貴方の虜ですから」

「物好きだなぁ…」

「河村さんには負けますよ」

「そうかな。僕の選んだCEOは誰から見ても最高な奴だと思ってるんだけど」

「これからも選んでくれます？」

「そうだなあ…偶然にも今日、お前についていこうって決めたところだったから」