My immaturity____T.K

裏側。 ページ40

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「Aちゃんのお父さんは、ある事件を追っていた。それは知ってるのか？」

「はい、父の捜査記録を見ました。でも、なんの事件なのかまでは全く。」









みちえさんが、旦那さんが飲み干したコップを下げに静かに席を外した。

みちえさんなりに気を使ったのだろう。


そこからは私と坂下さんだけの空間になった。







「僕も詳しくは知らないんだ。警察の人間じゃないしね。でも、昔お父さんと飲んでた時にポロッと言っていたことがあった。"俺は家族を守れないかもしれない"と。」

「守れない…？」

「そう。詳しく聞こうとしても上手くはぐらかされてたんだけど、"触れてはいけない所に踏み込んだかもしれない"って言ってた。生きることを諦めそうって。」









父はなにをしていたのだろう。

触れてはいけない所に踏み込んだ？

生きることを諦める……？


だから坂下さんは父が自 殺したと思った…。









「…なんで？」

「わからない、ごめんね…」









家ではずっと笑顔だった父。

私や弟にとても優しかった父。


そんな父しか見ていなかった私は
父の抱える悩みになにも気づきやしなかった。









「坂下さん…」

「…なに？」

「そのこと…、父が生きることを諦めそうって言った時…どんな表情してましたか？」









坂下さんが顔を歪ませた状態からもっと顔を曇らせて、"とっても悔しそうな顔だった"と言った時、









私の目から1粒、涙が溢れた。







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