検索窓
今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:99,804 hit

先輩。 ページ4

.






とりあえず、ここで立ち話もおかしいってことで

近くにあった来客用の

黒いソファに2人で腰掛けて

また話を切り出す。





「誠也、お前が短期間そこにいた時
なにをされたんや?」


「ダンボールを運ぶだけっす。」


「それだけ?」


「はい。それだけで時給3千円ですから、
俺もその時は金しか見てなかったんですよ。」








誠也は相変わらず顔を下にして

目の前にあるテーブルをじっと見つめていた。

そんな誠也をできるだけ焦らせまいと

俺もゆっくり丁寧にしゃべる。





「おかしな話やな。そのダンボールの中身は?」


「白い…変な、顔……の形…した___」





すいません、よくわからん物体が入ってて

俺もよくわかってないです。と、

バツの悪そうな顔をした誠也やったけど、

すぐに、でも!と

顔を上げた。





「ある時、俺と一緒に仕事してた人が
そのダンボールを運ぶ作業で1箱落としたんです。
その時に、その白い物体の中に
何かが入ってるのを見てしまって…………」


「クスリ………とか?」


「いや、そこまでは……でも、」




記憶を蘇らせるように眉間にシワを寄せながら

目をつぶる誠也の次の言葉を待つ。





「それを割った人はめっちゃ殴られてて
次の日から消えてしまいました。」





それが怖くなって、俺、自分から辞めたんです。

と体を前にして俺に訴えた。


その物体の中身が特定できれば

あっとゆーまやねんけど、今は何もできないな






「そうか、話はなんとなくわかった。
でもな、その友達はまだそこで働かせとけ。」


「え?なんでですか!」





今すぐ助けないと!とソファから

勢い良く立った誠也に俺は驚くことなく返した。





「今のこの話は俺がお前から聞いただけや
俺ら警察が動くかはわからへんねん。
証拠もお前の証言だけやしな。
でも、可能性が0ってわけやないから
一応上に伝えてみるけど………」






俺の言葉に誠也はどんどん暗い表情になっていく。





「大丈夫や、俺がなんとかするから。」





誠也を安心させるように言ったけど、

こんな俺が出来ることなんて限られてる。

でも後輩がこんなんなって助けへん先輩なんて

おらんやろ。






誠也の肩に手を置いた時、

昔、サッカーを一緒にしてた楽しい風景が

脳の中で蘇った。





.

幼稚。→←救。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (182 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
649人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

モンチ(プロフ) - にこさん» お返事ありがとうございます!はい!待ってます! (2017年12月6日 23時) (レス) id: 800d585497 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - モンチさん» コメントありがとうございます!今、いろいろあってあまり更新出来ないのですが必ず完結させますので今後ともよろしくお願いします!! (2017年12月6日 23時) (レス) id: af72205222 (このIDを非表示/違反報告)
モンチ(プロフ) - この作品めちゃくちゃ面白いです! (2017年12月4日 9時) (レス) id: 800d585497 (このIDを非表示/違反報告)
やまこたラブ(プロフ) - にこさん» ハイ!元クララブです!!!これからもよろしくお願いします!!! (2017年7月21日 22時) (レス) id: 8648ff81d6 (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 妃愛さん» えぇ〜!最初から……ありがとうございます!励みになります! (2017年7月21日 22時) (レス) id: 0c292db25f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:にこ | 作成日時:2016年5月15日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。