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12*/夏祭り ページ14

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今日は夏祭りの日


Aが来なくなってから随分経つ


あの女子生徒もこない、


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先生方は夏祭りに行っている生徒の
安全を見る為に巡回に駆り出されている


俺はその候補からは外してもらっていた


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駆り出されていない先生は
職員室で残業をしているのだろうか


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そんなことをぼんやりと考えながら
珈琲に口をつけた


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その時、夜空に大輪の花火が打ち上がった


「...始まったか」


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その花火を目を細めて見た


電気をつけていない保健室からは
眩しく映ったのだ


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しばらくの間花火を見ていると
後ろで物音がした


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振り返ると扉に人影が写っていた


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そして音を出しながら開く扉


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「....A」


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どこか期待していた


来るんじゃないかって


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こんな休みの日まで
制服をきて学校にくる奴


学校に来るときは制服、
という校則をちゃんと守る奴


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Aは何も言わず俺の前まで来た


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「ここに来たら会えるかなって、」


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聞きなれたAの声なのに
俺の耳には甘美に響いた


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「私ね、先生のこと好きなんだよ?」


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大人びた表情をしていたかと思ったら
首を傾げて子供みたいな表情をする


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「Aは可愛い生徒だよ
 それ以上でもそれ以下でもなくね」


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そう、そうなんだよ


それ以上でもそれ以下でもねぇんだよ


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「うん、知ってる
 それでも好きなんだよ」


切ない表情に変え、遠くを見つめる


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「ここに来た理由わかるでしょ?
 誰もいないんだよ?
 職員室にも誰もいなかったよ?
 私たち二人だけだよ?」


.


Aが何を言おうとしているのかわかる


.


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.


俺は傍の机にカップを置く


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ふとAを見ると


唇が

手が

震えていた


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  なにガキが強がってんだ、


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でもそんなガキが気になるのは俺だ


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設定タグ:先生 , 保健室 , 短編   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:先生厨@たいむ | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/t-k-0128  
作成日時:2012年9月23日 0時

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