恋情クロニクル (ページ6)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:4,598 hit

・ページ6

とりあえず、バントを組むにあたって

担当楽器を決めることになった。

「彩葉はキーボードがいい！ピアノ弾けるもん！」

希望によって彩葉ちゃんはキーボードに即決定。

安田くんとたつ、2人ともギターを希望して

歴の長い安田くんがギターになった。

残されたのはドラムとベース。

楽器を試しに弾いてみて

たつがドラムで、私がベースになった。

担当も決まって入部せざるを得ない感じ。

安田くんとは少し気まずいけど、
軽音楽部に興味が湧いたのも事実。

このチャンスを逃すのは惜しいよね！
思い切って入部届を提出することにした。

まさかの顧問が、村上先生だったことには驚いた。

「おぉ！よろしくな！」

あっさり受け入れられて良かった。

職員室から第三会議室に戻るとすぐに

安田くんに手招きされた。

「ベースもギターも先輩達が引退して
ずっとそのままっぽいから、メンテナンスせなあかんわ」

安田くんがそう呟いた。そして

「Aちゃん、明日ひま？一緒に楽器屋行かん？」

さっきと同じようにあざとく私を誘った。

明日は土曜日であいにく何も予定はない。
それに、私は昔から安田くんのお願いには弱いのだ。

「‥ひま、です」

声を振り絞った私に彼は満足そうに笑った。

「じゃあ10時半にいつものとこでええよな？」

いつものとこ、確かに彼はそう言った。
覚えてないなんて嘘はバレバレだったのか。

中学時代にデートした時の待ち合わせ場所を
すぐに思い浮かべてしまった私が悔しい。

普通に駅前って言えばいいのに。