突然のお客さま ページ25
あれからの丸山さんは驚くほどいつも通りだった。
むしろ前よりよそよそしい位。
だけど前より過保護になって、バイトが21時まである日は
バイクで家まで送ってくれる。
今日もバイト。
繁盛はしてないけど、お客さんが絶えることはない。
この静かな休日のお昼時が心地よくて好きだ。
新たなお客さんの訪問を知らせるベルが鳴る。
「いらっしゃいませ〜」
その言葉と共にお客さんの方を向くと
「き、侯くん！…と村上先生？」
「おん。バイトしてるん見に来たで〜
ってなんで村上のこと知ってるん！？」
店長の配慮で
「人少ないしちょっと早いけど賄い食べてええよ」
侯くんと先生とご飯を食べることになった。
「いや〜驚いた。ヒナがAの先生なん？」
「留年して、まだ学生のヨコとはちゃうからな」
「うっさいわ。Aの前であんま言うなや」
侯くんと先生は高校からの同級生で、
侯くんは大学で一年留年しているらしい。驚きの連続だ。
「ごちそうさま」
「めっちゃ美味かったなぁ」
「良かった！店長さんも喜ぶよ」
「おん。いいお店やな。バイト頑張れよ」
「逢坂、留年せんようにバイトも程々にしときー」
村上先生は一言多いんだから！
「ありがとうございました〜」
あの2人が帰って店内にはお客さんが居なくなった。
普段ならこのタイミングで丸山さんと一緒に賄いを食べるのだけど…。
私は食べないのに隣に座っていいのかなと
もうすでに特等席に座っている彼を見つめてみる。
「あれ、Aちゃん座らんの？」
たぬきさんみたいなキョトン顔で聞く丸山さん。
章ちゃんとは違った可愛さがあるなと思う。
促されるままに彼の前の席に座る。
「さっきの人たち、知り合いやんな？」
「うん。肌が白い人が従兄弟なんです」
「従兄弟なんや。良かった〜。かっこええから
どういう関係かちょっと気になってもうたわ」
侯くんが褒められると悪い気はしない。
それに贔屓目なしでもカッコいいと思う。
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作者名：YAMAＤ | 作成日時：2021年3月31日 0時
