恋情クロニクル (ページ15)

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Happy birthday 〜May 16th〜ページ15

放課後の部活帰り。
すっかり陽が落ちた道をたつと歩くのも当たり前になってきた。

「ねぇ。今、欲しいものある？」

「あー誕プレか！今欲しいの思いつかんなぁ〜」

「気づくの早すぎ〜。さりげなく聞こうと思ってたのに」

「あれで？サプライズとか一生出来ひんのちゃう？」

「たつが鋭いだけやん。私だってそんくらい出来るし！」

「まぁ、少なくとも俺には無理やな。」

「なんで？分かんないよ？もう引っ掛かってるかも」

「ないな。お前、分かりやすいから」

今年の5月16日は月曜日。
サプライズ…ってどうやれば良いんだろう？

「お菓子パーティーとかどぉー？
彩葉、みんなでたぁくんのお誕生日お祝いしたいなー」

彩葉ちゃんと章ちゃんに相談したところ
いつもの部活の時間にお菓子パーティーを開くことに決定した。

クラッカーとかいろいろ準備して張り切ってるみたい。
たつより先に部室に来て、サプライズする。

問題はプレゼントの方だ。
あれから、たつにリクエストされたモノがある。

『クマのぬいぐるみ、欲しいかもしらん。』
『クマ…？好きだっけそういうの。』

『覚えてない？小学生の時にくれたやつ』

昔、お母さんと手作りしたテディベア。
２つ作ってたつにもあげたことを思い出した。

『あれ、割と気に入ってん。
小さいバージョンもあったら嬉しいなって』

『可哀想だからペアで作ったってな！』

そんな会話の後、家に帰ってから裁縫の本を探し出した。

悪戦苦闘しながら作り上げたクマのカップルのキーホルダー
作ってるうちに愛着が沸いて渡したくない気持ちに駆られてる。

部室のドアが開いた瞬間に3個の破裂音がなる。

「「「大倉忠義！！誕生日おめでとう〜！！」」」

「うわっ！えーすご、みんな、ありがとう」

山積みのお菓子と飾り付けられた部屋を見てたつが言う。

プレゼント贈呈タイムになった。

章ちゃんはドラムスティックとオクラ。

彩葉ちゃんはペンケース。

2人ともオシャレなの持ってきてるから出しづらいな。
たつが、嬉しそうでよかった。

「誕生日おめでとう！はい、ご注文の品です」

「思ってたよりクオリティ高いわ。100点満点」

と褒めながらスクバにさっそくつけてくれる。

豆大福をたらふく食べてソフトドリンクを飲んで幸せそうだった

2人きりの帰り道

「ペアの方はAが付けたってよ」と言って
薄緑のクマはつけたまま、薄ピンクのクマを渡してきた。

私はそれを受け取って、ベースのケースにつけた。