「好きだよ」 (ページ7)

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57話　side-ru ページ7

僕は日本人のお母さんとベネズエラ人のお父さんの間に生まれたハーフだよ。
まだ生まれてこの方ベネズエラに行ったことはないんだけど。
僕は別にハーフだからといっていじめにあっていた訳ではないし、お父さんとお母さん、お兄ちゃんのことは大好きだよ。
まあ名前を言うと初対面の人に「ハーフなんだな」って思われることはあるけどこの名前が嫌って訳じゃないしね。

僕がみんなと違う、皆が思う普通と違うって最初に気づいたのは幼稚園の時。
早いって思った？
でも幼稚園って、誰々くんが好きみたいに恋愛感情を持ち始める時期でもあるじゃん？
友達に聞けば「俺はあの子が好き」って返ってきて。
そしたら友達から「ラウールは誰が好きなの？」って聞かれるよね。
僕はこの質問が嫌いだったんだ。

だって僕は、
出会って仲良くなった人みんなに恋をしていたんだから。
年齢も性別も関係なく、誰にでも恋愛感情を持っていたんだ。

友情の好きを恋愛の好きだと勘違いしてるんじゃないって思ったでしょ？
そりゃ僕も最初はそう思ったよ。
『普通』は1人の人を好きになるものだからね。
ここで僕は皆が言う『普通』ではなくなってしまったんだ。

話を戻すね。
もちろん僕はそう質問してきた友達のことも好きで。
もし今ここで「僕は君が好きだよ」なんて言ったら友達はどんな反応するんだろう？

今の、高校生の僕は同性愛に偏見なんて一切持ってないし実際友達にいるから「気持ち悪い」だなんて思わないけれど。
通ってた幼稚園の友達はみんな女の子を好きになってたから、
「ありがとう！」って言ってくれる？
「気持ち悪い！」って軽蔑する？
周りに言いふらす？あいつ男が好きなんだ！って？

結局僕は「いないよ」って答えた気がする。
今考えればその答えが１番よかったのかもしれないね。