「好きだよ」 (ページ3)

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53話　side-mm ページ3

「昔の私はお母さんの期待に応えるために必死だった。
やるなら1番になりなさい、お母さんの言うことは誰よりも正しいのよって言われ続けて。
頑張って1位になったら褒めてくれるから。
優しく笑って頭を撫でてくれるお母さんが大好きで。
…でももう優しかったお母さんはいない。
……私が、あの時」
ru「めめ」
私の話を遮ってラウールがぎゅっと手を握ってくれた。
ru「めめ、手震えてるよ」
その言葉を聞いて自分の手を見ると、小刻みに手が震えていた。
ru「今日全部話さなくてもいいんだよ。
めめが話したいと思った時に、ゆっくり自分のペースで話せばいいよ」

ラウールはそう言うと私の手を握ったまま康二くんの方を見た。
ru「康二くん、今の話聞いてびっくりした？」
kj「…うん」
ru「…今の話聞いてめめから距離おこう、とか思った？」
kj「そんなわけないやろ！」

と、その時。
『失礼します。蓮ちゃん入るよー？』
カーテンの向こうから弟の声がした。
「あ、入っていいよ」
私がそう言うと、ゆっくりカーテンが開いて弟が入ってきた。
『…もしかして俺、変なタイミングで来ちゃった…？』
弟がそう私に聞いてきた。
ru「いや、全然大丈夫だよ！
さてと康二くん、僕達はそろそろ帰ろっか！」
kj「う、うん！」
弟の質問にラウールが答えると、帰る準備を始めた。

ru「あ、めめ！月曜日学校来るよね？」
「え、うん。そのつもりだけど」
ru「じゃあさ、前髪あげてマスクつけずに学校来てよ！
「は？なんで？」
ラウールにそう言われて眉をひそめた。

ru「僕と康二くんからのお願い！
康二くんもめめの顔、もっと見たいよねー？」
ラウールが康二くんに同意を求めた。
kj「うん、私も見たい！」
ru「ほら、康二くんもこう言ってるんだからさ。ね？」

「…忘れてなければ、ね」
ru「やったあ！めめ大好き！」
「だからお前はすぐ人の耳を食べようとするな！」