「好きだよ」 (ページ20)

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67話　side-mm/side-kj ページ20

高校に入ってから誰かと一緒に登校するなんてはじめてだから、ほんの少しだけ嬉しくなってる自分がいる。
それと同時に、自分だけこんな気持ちになってるのが申し訳なく思えてくるんだ。

…あの子がもし生きていれば今ごろクラスの人気者になっていただろうな。
だれとでも分け隔てなく接することができて、先生からも信頼されていたあの子に私は惹かれていった。
はじめて恋をした。
あの子のことが大好きだった。
口には出さなかったけど、あの子の彼女だということがすごく嬉しかった。
この先ずっと一緒にいるんだろうな、そう思ってたのに。
…あの子はなんと取り柄もないゴミみたいな私を庇って死んでしまった。
なんで私なんかを庇ったんだろう。
未だに目に焼き付いて離れない。
血まみれになったあの子と、赤黒く染まったアスファルト。

kj「めめ？」
康二くんに名前を呼ばれてはっとする。
…どれだけ願っても、もうあの子たち(・・)は帰ってこないのに。
「…少し考え事してた」
kj「そっか。ずっと黙ったままだったからどっか具合でも悪いのかなって思ったんよ」
「…大丈夫、なんともないから」

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昇降口で上履きに履き替えて、皆で教室に向かおうとした時
「あれ、めめなんでそっち行くん？」
なぜかめめは、逆方向に歩き始めた。
mm「…私はラウールと一緒にいちゃダメだから」
だからこっち、と言って歩き出そうとしためめの腕を掴んだ。
「私はめめと一緒がいい」
mm「でも」
ab「誰かにラウールと一緒にいちゃダメって言われたの？」
突然あべちゃんがめめに話しかけた。
mm「いや、そういうわけじゃないけど…」
ab「ならいいじゃん。ほら一緒に行こ？
…大丈夫、目黒さんが心配してることはなんとなくわかってる。ラウールを狙ってる人たちのことでしょ？
この時間帯は比較的人が少ないから、そういう人たちに陰でなにか言われるとかは起きないと思うよ。だから安心して。
…それに私たちも、もっと目黒さんと仲良くなりたいし」
ダメ？と若干上目遣いでそう言ってめめを見つめるあべちゃん。
…女子の私から見てもあざといなあ。
mm「…わかった」
めめはそう言うと、私の隣に並んだ。
mm「…これでいい？」
ab「うん！じゃ、行こっか」