「好きだよ」 (ページ2)

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52話　side-mm ページ2

「こんな見た目のやつとラウールが友達だって知られたら、ラウールの居場所がなくなると思ったからだよ。
多分ラウールの彼女になれた人は少なからず周りにこう言うでしょ？『ラウールくんと付き合うことになった！』って。
それに噂にもなるだろうし。
…だから本当にラウールとは何もないよ」

私のその言葉を聞いた康二くんははぁ、と息を吐いた。
kj「…めめとラウは付き合ってるんじゃないかって思ってた。
めめに急に近づいて、ラウがよくない顔をしてるんじゃないかって。
でも実際は『友達』なんだよね？」
康二くんの問いかけに頷いた。
kj「…ほんとよかったわあ…」
「何がよかったの？」
康二くんのその言葉が引っ掛かったから聞いてみたら
kj「んあっ！？な、なんでもないよ…！」
と誤魔化されてしまった。

「…次は私の家族の話、するね。
…はっきり言うと私の家族は普通とは程遠い。
さっき康二くん聞いたでしょ？女の人の叫び声」
私がそう聞くと康二くんは頷いた。

「最悪な家族の中で唯一信用できる2つ下の弟、
私を偽物だと信じて疑わないヒステリーを起こす母親、
そして何事にも、無関心で余計なことしかしない父親」

「さっきまで大声で怒鳴ってたのは私のお母さんなんだ。
いつも私を一目見るだけであんな風に怒鳴るんだ。
滝沢先生から聞いたでしょ？『目黒がお母さんに刺された』って」
kj「…うん」

「3日前もそうだった。殺意むき出しの目、憎悪丸出しの顔で怒鳴られたんだ。
そして母は自分で割ったであろうガラス製の花瓶の破片で、私のお腹を刺した」

「お母さんは私のことが殺したいくらい大っ嫌いなの。
毎日毎日何がにとりつかれたみたい
『偽物は殺す、本物の蓮を迎えにいかなきゃ』って言ってるんだ」

kj「『偽物』って何…？めめはめめなんじゃないの」

「もちろんお母さんの元に生まれた目黒蓮は私だけだよ
…偽物は『今』の私
…本物の私は『昔』の私のことだよ」