君はペット (ページ5)

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家に上げるなり、キョロキョロと部屋中を見つめる少年の姿に警戒しつつ仕事着を脱いで着替えた。もうすっかり、酔いも覚めてしまった。

？｢滅茶広いんやな、部屋。1人には広すぎるやろ｣

｢まあ、元々彼氏と住む予定だったからね｣

？｢え、お姉さん結婚するん｣

｢振られた、一昨日。｣

？｢あ … ごめんな。｣

｢良いの、別に。価値観が合わなくなったし、お互い仕事で忙しかったから会う機会も無くなって来てたから、丁度良かったの。｣

全部嘘。相手が浮気してた、チラッと見えた携帯を覗いたら女とやり取りしてるメールを見つけちゃって。浮気されてたなんて、屈辱でしか無くて幼馴染の翔太にですらその事は言ってない。

？｢でも、お姉さんなら大丈夫やって。次の恋見つかるから、落ち込んだアカンで。｣

｢アンタ、何様よ｣

見ず知らずの男に励まされてもな。

ずっと部屋中を徘徊する少年を監視しつつ、謎の頬にあった傷の手当をする為救急箱を取り出す。

？｢あ、ワンちゃんやん可愛いなあ｣

｢昔飼ってた犬、レオって言うんだけどね。私の心の支えだったんだ、お母さんに怒られた時も学校で嫌な事があった時も寂しい時もどんな時でも傍に居てくれたの。｣

写真立てに飾ってある、私と愛犬の写真。
レオ … 懐かしいなあ、私が中学生の時天国に行っちゃったんだよね。小さい頃はこうして心の支えが居たけど、大人になった今そんな支えなんて居ない。犬を飼おうとはしたけど、レオと比べちゃって結局飼えて無いんだよね。