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「そりゃ赤子に限定するわけだ。大人の死体は持ち運べないだろうしな。見た目は生きているようだけど、その実、プログラムも通りに動くペットロボットと変わらねぇんだよな、それ」
「嘘!だって私、ちゃんと聞いたもの!!この子が帰って来るって、お金を払ったんだもの…」
「親ならば分かるのではないですか?自分の子供の細かな癖や感情を乗せた表情。生きた魂の気配が、その赤子にはない事くらい」
「そんなこと…」
「それに…この子には分かっていたみたいですよ!自分の母親が得体の知れない何かに心を奪われようとしていることにね」
灰原に手招きされ、子供の手を引きながら2人の元へ行く春野。不安げな表情を浮かべながら自分の母親を見つめていた。
「貴方にとって選びたい真実が、「子供を1人も失わなかった今」、ならば別にとやかく言う筋合いはありませんが、「貴方を心配する子供が生きている今」、から目を背けている事は事実でしょう」
七海の言葉に漸く自分の愚かさに気付いたのか、母親はその場に泣き崩れるのだったーー。
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「思いの外かかっちゃったねー!外は日没かな?」
「ええ。でも力づくでは意味がありません。自ら手放す決断でなければ」
「呪いを祓うよりきついよね。人の未練を祓うのは」
『私、今まで呪霊を祓う仕事しか請け負った事がなくて、一般人を巻き込んでの仕事は今回が初めてでした。私も両親を亡くしているので、何かに縋りたくなる母親の気持ちも分からなくはなかったんです。けど今は、こんな卑劣なやり方で金儲けをする人形師がただただ許せない…』
「だからそのクソ人形師を成敗するために今向かってんだろ?にしてもこの呪骸、手提げ鞄に入れるには重すぎんだろ」
今回の任務を遂行するのに大事な手掛かりとなる人形に込められた呪力を見比べながら、微かな残穢を頼りに大元を辿っていた。
「こいつを売った人形師も一応、痕跡を隠すつもりはあったようだけど、やっぱもぐりだろ。雑にも程がある」
「1級、或いは特級が相手だとしたらこんな雑な残し方はしないだろう。どうやら3人に見合った案件だったようだ。悟、私達の出番はなさそうだよ。とか言ってる間に…」
「ここか」
一行は古い雑居ビルに辿り着いた。人目につかないように術式もかかっていたが隠せてはいなかった。だがそこは、胡散臭い商売の根城には打ってつけの場所のようだ。
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マニ。(プロフ) - 春うららさん» ✉️。こんにちは、とても面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?お返事お待ちしています。 (1月5日 19時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
春うらら(プロフ) - まる??さん» まっったく気付きませんでした…。ご指摘ありがとうございます!助かりました🙇🏻♀️💦 (1月4日 2時) (レス) id: 1cdd555c6d (このIDを非表示/違反報告)
まる??(プロフ) - オリ/フラ立ってますよ。違反になってしまうので、気を付けて下さいね💦 (1月3日 16時) (レス) id: d16c4af477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春うらら | 作成日時:2023年12月20日 0時