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駄々を捏ねながら泣き叫ぶ子供と、例の人形を大事に抱える母親がいた。子供に弟だと言い聞かす母親。だが、「ちがう」と泣き叫びながら否定し続ける子供に痺れを切らした母親が手を振り翳した。
「「「「『!?!』」」」」
母親の振り翳した手は子供の頬に届く事なく夏油の手によって行動が制御された。
「奥さん、ちょっと落ち着きましょうか」
「ちょっ…と。何なんですか、貴方!…っ、いきなり入ってきて!離してください。これは親子の問題です!」
「今、ご自分がその腕に抱えている物が何かお分かりですか?」
「何、って…」
「…なるほど、人形ね。パッと見よく出来てんじゃん。一体何が出てくんのかと思えば、そう言う事か。こんなの売りつけて死者蘇生を謳うなんて、大したインチキっぷりだな」
夏油が行動を制御しているのを良い事に、母親の腕から取り上げた人形をプラプラさせる五条。その様子を見た母親が五条の手から
「や、やめて下さい!子供に触らないで!!」
「そんなにそれが大事ですか?貴方の足元で泣き叫んでる子供よりも?」
「当たり前でしょう?この子だって、私がお腹を痛めてーー「購入したのでじょう?」」
興奮している母親を宥めると、徐々に落ち着きを取り戻した。今回の任務は2年に任せられたものであるため、子供は春野に預けて、七海と灰原が母親に人形についての説明をする事になった。
「呪骸…?」
「ええ。呪いの人形と言えば分かりやすいでしょうか」
「人形、って…。だってこの子、こんなに…」
「ほんとよく出来てますよね!普通の人が見たら、本物の赤ちゃんと区別が付かないと思います」
「この子は、本物の…」
「そうじゃない事は、取引をしたお母さん自身が1番よく分かっているんじゃないですか?」
「そんな…」
「呪骸をそこまで人間らしく作れる呪術師はそういない。…これは推測ですが、貴方はそれを作ってもらうために、金銭以外に何かを要求されたのでは?」
「え…?」
「おそらくはーー「蘇らせたい赤子の死骸」」
「…五条さん」
五条の確信をついた言葉に心当たりがあるのだろう、母親がはっとした表情を見せた。
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マニ。(プロフ) - 春うららさん» ✉️。こんにちは、とても面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?お返事お待ちしています。 (1月5日 19時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
春うらら(プロフ) - まる??さん» まっったく気付きませんでした…。ご指摘ありがとうございます!助かりました🙇🏻♀️💦 (1月4日 2時) (レス) id: 1cdd555c6d (このIDを非表示/違反報告)
まる??(プロフ) - オリ/フラ立ってますよ。違反になってしまうので、気を付けて下さいね💦 (1月3日 16時) (レス) id: d16c4af477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春うらら | 作成日時:2023年12月20日 0時