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「たすけ、たすけてっ。金が、金、金ならあるからっ。はらっ、は、は、祓ってくれぇ!!」
「お腹のところ、虫が湧いてる…」
「呪骸の群れですね」
「人形師の体と手に入れた赤子の死体。肉を喰って増え続けてるんだ」
「どうやら呪骸の生産工場を兼ねる、自己増殖する呪骸のようだね」
呪骸に至る所の肉を喰われる度に男が叫び声を上げながら地面をのたうち回る。
「こんな男がどうやってあの精妙な呪骸を仕上げたのか…というのは疑問だったが」
「大方、古い呪術師の家系の成れの果てが、蔵の底から掘り出した呪具…もとい。暴走呪物ってところだろ」
「最初は純粋な金儲けだったんだろうね」
「死体どころか生物も貪る代物だ。赤子の死体じゃ飽き足らず、人形師本人の体までも喰らうとはな。おーい!これは悠長に構えてちゃいられねーぞぉー!」
「そうですね。ここは私が」
それが合図かのように七海を残し部屋を出て行こうとする一同。
『七海、私も残る』
「いえ、貴方も灰原と一緒に出て行ってください。私1人で十分です。それにあんな姿を見て十分に動けるとは思えないですし、正直言って邪魔です」
「七海、そんな言い方はないだろう!春野、ここは任せよう。僕も七海が適任だと思う」
『分かった…』
「あっ、えっ、あっア…。た、たす、タスけて、くれ、クレるんじゃ…?」
「いや、無理。分かるだろ、自分で」
そう五条が言い残すと、七海と人形師の2人きりとなった。
「万一、家入さんなら切除できたのかもしれませんが…」
そう言うや否や、バッグの中から普段から愛用している刀身が呪符のような布でグルグル巻きにされた大振りの鉈を取り出した。
「ま、マテ、ナンダ、それは」
「7:3。私の術式は、対象を線分した時、7:3の比率の点に強制的に弱点を作り出します。それは生物と非生物とに関わらずです」
「…な、ナニをいっテ…」
「その姿は気の毒ですが、発端として貴方が危険な呪術で金儲けを行っていたことは明白です。それに、その身体はもう手遅れです」
「やだ、やだやだやだ!私は、死者を蘇らせて!救ってやった!人のココロを!救ってやったんだ!なのに!!こ、こんなめっ、こっ、ここっ、ころし」
「既に言語も自意識も危うい。何より、他者への呪いを振り撒いてしまった貴方は既に呪いそのものですから」
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マニ。(プロフ) - 春うららさん» ✉️。こんにちは、とても面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?お返事お待ちしています。 (1月5日 19時) (レス) id: 4c65165166 (このIDを非表示/違反報告)
春うらら(プロフ) - まる??さん» まっったく気付きませんでした…。ご指摘ありがとうございます!助かりました🙇🏻♀️💦 (1月4日 2時) (レス) id: 1cdd555c6d (このIDを非表示/違反報告)
まる??(プロフ) - オリ/フラ立ってますよ。違反になってしまうので、気を付けて下さいね💦 (1月3日 16時) (レス) id: d16c4af477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春うらら | 作成日時:2023年12月20日 0時