#5 ページ5
「死ぬついでに教室の人たちに英雄視されたいだけ。俺らからしたら迷惑でしかない。そこまで勉強してたら分かっとるやろ」
わかってた
桃瀬くんがしゃがみ込んでハンカチを目に押し付けてきた。そこで初めて私が泣いていることに気がつく。
「家族も、幼なじみも死んで、何もないんです。だったらせめてそのくらい、」
「…それくらいの人間はいくらでもおる。」
それくらい、
それくらいで悲劇のヒロイン面するな、と暗に含まれてるみたいだった
「幼馴染みの件は、残念やったと思ってる。でもな、死体が丸々食われるレベルのタールはもし遭遇しても僕1人じゃ対応できません」
「ぁ、」
思い出す、式場で中に何も無い彼の棺、その横でうずくまる家族
泣いてた可愛い彼女とか、彼の友達が持ってきた色紙とか
意味もなく開けられた小窓の奥の闇
ぽっかりと、ただの虚空のような空間にさえ心に傷を負った私たちは恐怖した
この真っ暗な闇はタールに全部喰われたからだと説明を受けたから
彼は黒に飲まれて消えて、
彼が居たはずの空間ですら黒くなって、
その色の存在が私たちを蝕むのだ
怖くて、嘘みたいで、私は泣けなかった
帰っても家で1人で思い出に浸って、現実を見ることを拒否していた
「辛かったな」
震える私をゆるく抱きしめて、背中をポンポンと叩かれる
「ぅ、ゃだ」
「泣いとけ、じゃないとまた変に暴走する」
桃瀬くんの制服を握り締めて、初めてちゃんと死と向き合えた気がした
しばらくして、顔を合わせると桃瀬くんは酷い顔と笑い、それに釣られて久しぶりに笑えた
「Aさんが自分の意思であの世行ったら、彼ぶん殴ってキレそうやから止めとき」
「確かに、そうかも」
なんとなく、前向きに捉えられる気がしてきた
「みんなの分まで生きるようにします」
「それがええ」
「記念に羽根ください」
「…」
渋い顔をして貰った羽根を握りしめる。これがあれば、多分大丈夫
「また明日」
「おう、またな」
そう言ったのに、次の日学校に行くと桃瀬くんの席はもうなかった
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恐竜少女(プロフ) - 燕さん» お返事ありがとうございます！需要あります…！ずっとやったりしないのかな…と気になっていたのでお返事頂けて嬉しいです！始められたら真っ先にフォロー向かいますね！こちらこそありがとうございました！ (2020年12月15日 21時) (
レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 恐竜少女さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とても喜びました！Twitterはやってません…需要あるでしょうか？みなさんがTwitterでどんなお話をしているのかは気になりますね、コメントありがとうございました！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 3ea3cbd8c6 (このIDを非表示/違反報告)
恐竜少女(プロフ) - 燕様の作品を全作定期的に読み返すほどどの作品も魅力的で大好きです…！失礼を承知でお聞きするのですがTwitterをされる予定などはないのでしょうか…？お気を悪くされましたら申し訳ございません…… (2020年12月15日 2時) (レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 名前さん» ストレートな言葉で照れました…ありがとうございます (2020年12月2日 16時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
名前(プロフ) - 好きだ… (2020年11月29日 17時) (レス) id: 822832712f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燕
| 作成日時：2020年7月26日 11時
