#36 ページ37
「智野くんはね、サスペンションになったんだって」
通信中の桃瀬くんの代わりに口を開く
読み聞かせでもするかのような語りに息を呑む彼は、メガネの奥で瞳をぐらぐらと揺らしていた
「あの人もサスペンション、私は訳あって今サスにお世話になってる一般人です」
え、と彼から声が溢れ右手が私の頬をなぞる
割れ物を触るような、輪郭…私の存在を確かめるような、優しく触れられたその手は震えていた
「じゃあ……ホンマは、生きとったん？」
「うん、言えなくてごめんね」
「俺、Aちゃんの、こと」
メガネの下、誰の入れ知恵かは知らないけれど目下のよれたコンシーラー
濃い隈がある
「トラウマになっちゃったよね、」
「ちゃうねん！」
頬をなぞっていた手が首に周り、がばりと引き寄せられた
ぎゅうぎゅうと痛いほどの抱擁、彼は構わず首元に涙を押し付け呻く
「生゛き゛て゛て゛よ゛か゛っ゛た゛ぁ゛！」
彼の大きな手が頭部を掴み、わしゃわしゃとそのまま髪を乱していく
えぐえぐと泣く彼に釣られ、鼻の奥がツンとして…同様に大粒の涙がこぼれ出る
「あの時助けられなくてごめんなあ！」
少し動かしにくい頭をブンブンと左右に振ってこちらからも抱きしめる
そこから暫く言葉は発せなかった、涙をぼとぼとと落とし服を濡らして、口を開ければゼェゼェと呼吸のみに使われ嗚咽だけが漏れていく
2人してわぁわぁと泣いていると、ざり、と気まずそうな足音
階段の方を見るとショッピさんがチラチラとこちらを見ながら桃瀬くんに視線を送っている「はやくどうにかしてくれ」と物語っていた
その視線を辿り桃瀬くんを見ると気まずそうに眉を下げている
感動の再会の所悪いんやけど、とそのまま顔に書いてあった
「あー…えと、」
おほん、と態とらしく咳をした彼に智野くんが意を決したように眼鏡を外し、勢いよく目にシャツを擦りつけた
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恐竜少女(プロフ) - 燕さん» お返事ありがとうございます！需要あります…！ずっとやったりしないのかな…と気になっていたのでお返事頂けて嬉しいです！始められたら真っ先にフォロー向かいますね！こちらこそありがとうございました！ (2020年12月15日 21時) (
レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 恐竜少女さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とても喜びました！Twitterはやってません…需要あるでしょうか？みなさんがTwitterでどんなお話をしているのかは気になりますね、コメントありがとうございました！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 3ea3cbd8c6 (このIDを非表示/違反報告)
恐竜少女(プロフ) - 燕様の作品を全作定期的に読み返すほどどの作品も魅力的で大好きです…！失礼を承知でお聞きするのですがTwitterをされる予定などはないのでしょうか…？お気を悪くされましたら申し訳ございません…… (2020年12月15日 2時) (レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 名前さん» ストレートな言葉で照れました…ありがとうございます (2020年12月2日 16時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
名前(プロフ) - 好きだ… (2020年11月29日 17時) (レス) id: 822832712f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燕
| 作成日時：2020年7月26日 11時
