#31 ページ32
「何その格好、かっこいいね？コスプレ？」
ふふっと笑うAさんと、感情でぐちゃぐちゃなひとらんの顔が相対する
ひとらんの手先が震えていた、柄に指だけは添えている
…居合切りすれば済む話の距離
「えぐ、」
そんなんじゃ済まないことは、幼馴染みの話をするひとらんを見ていた俺にはわかる
だってこの三年間、コイツはこのAさんのためにタールを切ってきたようなもんやったから、
「あ〜、シッマにいじめられとる〜」
いつのまにか訓練所に来ていた大先生がタバコをふかしながら俺の隣に立つ、いつも訓練所なんて来うへんやんけ
「な、ゾムさん、見てて思うやろ？他人のために動いてたらこうなんねん、心血注いで守った人間がタールにならん保証なんてないんやから」
大先生は視線はタールから離さず、今回はあまりにも運が悪かったけどな、と言葉を付け足す
「切れるわけねェだろうが、」
「何か言った？らんちゃん、一緒に帰ろう？」
近寄るAさんの肩を突き飛ばすひとらん、
「きゃ、」
「クソッ…なんでだよ！なんで…」
尻餅をついた彼女がそれでも優しくひとらんに寄り添おうとする、
「泣いてるの…？どうして？辛いの？」
「俺がお前を殺さなきゃなんねぇんだよ…」
「お前を守るためにサスになったのに…」
「大丈夫、」
するりと、Aさんがひとらんを抱きしめた、
聖母のように穏やかな顔で、細い腕で、アイツをそっと閉じ込める
「私が、楽にしてあげるからね」
その瞬間、鮮烈な赤が抱擁の中から飛び散った
ひとらんの、血液
それがAさんや、ひとらんを赤く染めていく
その光景に思わず呼吸をするのを忘れた、隣で大先生が小さく「あちゃ〜」と言葉を漏らす
「お前の負けや、ひとらん」
解除、そうシッマが呟くと、線が再び発光
強い閃光が終わると、その場にはタールが入っている檻と放心状態のひとらんが能力発動前と同じ位置に立っていた
『コロッセオ』は仮想現実だ
能力発動中にあったことを無かったことにする、
限定的に、結果をそのまま現実に移行することも出来る
今回は全て元通りになったから、Aさんとひとらんそれぞれ能力範囲『内』に設定されていた訳だ
「サスになったからには、いかなるタールにも厳正な対処を行ってもらう。ひとらんはまだその域に達してないことがわかった、暫くは謹慎やな」
「シッマ、流石にそれは」
「ゾム、サスはそういうモンやねん」
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恐竜少女(プロフ) - 燕さん» お返事ありがとうございます！需要あります…！ずっとやったりしないのかな…と気になっていたのでお返事頂けて嬉しいです！始められたら真っ先にフォロー向かいますね！こちらこそありがとうございました！ (2020年12月15日 21時) (
レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 恐竜少女さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とても喜びました！Twitterはやってません…需要あるでしょうか？みなさんがTwitterでどんなお話をしているのかは気になりますね、コメントありがとうございました！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 3ea3cbd8c6 (このIDを非表示/違反報告)
恐竜少女(プロフ) - 燕様の作品を全作定期的に読み返すほどどの作品も魅力的で大好きです…！失礼を承知でお聞きするのですがTwitterをされる予定などはないのでしょうか…？お気を悪くされましたら申し訳ございません…… (2020年12月15日 2時) (レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 名前さん» ストレートな言葉で照れました…ありがとうございます (2020年12月2日 16時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
名前(プロフ) - 好きだ… (2020年11月29日 17時) (レス) id: 822832712f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燕
| 作成日時：2020年7月26日 11時
