#4 ページ4
赤い瞳と初めて目が合う。念押しされているようだった。
視線をすいと外され、４階に向かう彼を投げ出された視界でスローモーションのようにそんなことを知覚していく
本当に桃瀬くん…？
かなりの勢いで投げられたから衝撃を覚悟したが、ふわりと浮遊したあと、ベッドの上に置かれるように優しく着地した。
羽が光の粒子となって消えていく
「綺麗…」
手から溢れ落ちる光を眺めると心が落ち着いてくる気がした
彼の容姿が、天使みたいに見えた
サスペンションってあんな感じなんだ
「トントンって、」
今日ランキング1位になっていた名前
彼が、トントンなのか？
そんなに強いサスペンションが同じ教室にいたんだ
だから助かった
なのにらんちゃんは…
思考がどんどん暗く澱んでいく、私なんかより彼に生きて欲しかった
もっと言えば、
「Aさん」
ハッとして顔をあげると目の前には桃瀬くん
羽根をたたみつつ、目の光が収まっていく
サスペンションから一般人に戻った桃瀬くんは、いつも温和な彼からは想像つかないくらい眉間にシワを寄せていた
「動かなかったな、そこは偉い」
腰が抜けて動けなかっただけだ
「あの場に僕が居らんかったら、被害を最小限に抑える作戦でもあった。よく勉強しとる。やけど、褒められるような事やない」
「市民はサスペンションが来るまで避難活動に徹するのが大前提や」
自分が何したかわかってるんですか
場が凍るような冷たい声が私の中に充満した
それでも、口を開く
出てきた声は小さい上に震えていたけれど、己にだって正義はあると抗議したかった
「桃瀬くんが居なかったら、完全に間に合ってなかった。死傷者は片手じゃ収まらなかったはず」
「そうかもしれん」
「じゃあ、」
「そういうことを話してるわけじゃ無い。死ぬ気やったやろ。」
反論時だと言葉を紡ぎかけた瞬間
冷たい…そして雷のような彼の言葉に頭頂から貫かれてしまい、私は口を閉じるしかなかった
図星だ
「タール使って死のうとするな。俺たちからしたら迷惑やねん、必死こいて救助してんねんから」
「あの教室にいた人が、死んだかもしれへんし、死ななかったかもしれん。その中でタールに飛び込んでく奴は論外や。俺らを信じてくれ」
「死にたいんです。どうせなら役に立って死にたい」
「それはAさんのエゴ」
赤い瞳が真っ直ぐとこちらを見る
その表情には非難も侮蔑も無く、
ただただ事実が彼の口から発せられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 823人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恐竜少女(プロフ) - 燕さん» お返事ありがとうございます！需要あります…！ずっとやったりしないのかな…と気になっていたのでお返事頂けて嬉しいです！始められたら真っ先にフォロー向かいますね！こちらこそありがとうございました！ (2020年12月15日 21時) (
レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 恐竜少女さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とても喜びました！Twitterはやってません…需要あるでしょうか？みなさんがTwitterでどんなお話をしているのかは気になりますね、コメントありがとうございました！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 3ea3cbd8c6 (このIDを非表示/違反報告)
恐竜少女(プロフ) - 燕様の作品を全作定期的に読み返すほどどの作品も魅力的で大好きです…！失礼を承知でお聞きするのですがTwitterをされる予定などはないのでしょうか…？お気を悪くされましたら申し訳ございません…… (2020年12月15日 2時) (レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 名前さん» ストレートな言葉で照れました…ありがとうございます (2020年12月2日 16時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
名前(プロフ) - 好きだ… (2020年11月29日 17時) (レス) id: 822832712f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：燕
| 作成日時：2020年7月26日 11時
