#27 ページ28
「おはよう」
その声で目が覚める
檻の外に立っている久しぶりに見たまともな人型
前に見た記憶と同様、近くに置いてある檻の中の半タールたちは(三流と呼ぶには抵抗がある)出来る限り彼から距離を取るように離れていた
「大先生のマナ食べたんだって？まだお腹空いてる？」
視界が霞んでいる、あまり思考が働かない、体も碌に動かせない、これが『空腹』なの？
声を出すのも億劫で、わからないの意を込めてゆっくりと首を傾げると「ふは、」と軽く笑われた
檻が桃色に脈動し、人が中に入ってくる
近付いた事で滲んだ視界でも頭に書いてある字が読めた
「てん」
「そう、わかる？偉いね」
彼は私の両手をとって、片方ずつ握り込んだ
ベッドの布と檻の冷たさばかりに触れていた手に人肌の温もりが染み渡る
「今から抑制剤とマナあげるから」
そう言われてしばらくすると、彼の手がじんわりと熱くなってきた
「ぁ、は、」
体が焦ったくて疼く、動こうにも気怠さと握られた両手が相まって結局身じろぐことしかできない
じわじわと熱が指先から肩、首から全身に回っていくのを感じる
疼く体に耐えながらも、雪に湯を注ぐような暴力的な甘さが脳内を支配していた
気が狂う
その様子を見て周囲の檻の中身がズルいズルいと血走った目や殺気を向けてきた
収容されてる者同士だから彼らの声が聞こえるのか、これが正常なサスにも聞こえるものなのかはわからないが、目の前の人は見えていないのかという位この檻の外の存在には一切興味を示していない
「ぅ、ひぃ、あ」
「美味しい？」
感情の読めない紙の下から声が聞こえる
この声も、暴力的に甘かった
「前の子はこの入れ方が一番美味しい言うてくれたんよ」
これが『美味しい』なの？
少なくとも前回のような痛みはない、こくりと頷くと嬉しそうに「そうかぁ」とだけ返された
「前回首掴まれたでしょ？若干跡残っとる」
「修復にまでマナが回らんかったんやな」と首を掴むようになぞられると本能で体がびくりと強張る
「マナは粘膜からか血管が集中してるところに入れるのが効率ええねん、でも食事の度に首掴まれたら嫌やろ？」
「ちょっと失礼、」そう言われて抱きしめられる
「ぁ、す、ご」
ぎゅうと締め付けられたところからマナが先ほどよりも穏やかに移行して、じんわり体が熱くなると同時に頭にもマナが伝わるのがわかる
暖かくて、甘く脳が溶けそうになる
視界の真ん中でバチバチと火花が咲く
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恐竜少女(プロフ) - 燕さん» お返事ありがとうございます！需要あります…！ずっとやったりしないのかな…と気になっていたのでお返事頂けて嬉しいです！始められたら真っ先にフォロー向かいますね！こちらこそありがとうございました！ (2020年12月15日 21時) (
レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 恐竜少女さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とても喜びました！Twitterはやってません…需要あるでしょうか？みなさんがTwitterでどんなお話をしているのかは気になりますね、コメントありがとうございました！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 3ea3cbd8c6 (このIDを非表示/違反報告)
恐竜少女(プロフ) - 燕様の作品を全作定期的に読み返すほどどの作品も魅力的で大好きです…！失礼を承知でお聞きするのですがTwitterをされる予定などはないのでしょうか…？お気を悪くされましたら申し訳ございません…… (2020年12月15日 2時) (レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 名前さん» ストレートな言葉で照れました…ありがとうございます (2020年12月2日 16時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
名前(プロフ) - 好きだ… (2020年11月29日 17時) (レス) id: 822832712f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：燕
| 作成日時：2020年7月26日 11時
