#14 ページ14
「…ちょっと失礼」
手袋を外し、彼女の頬に触れる
指先の熱が吸収される感覚
…ホンマにマナ吸っとる
一般人はマナを吸えない、つまり
「サスになっちゃったか…」
自分が渡した羽が彼女の死の運命を歪めて、サスペンションにさせた
「でもな、ホンマにこの子自体からのマナの感覚が薄くて。マナ吸ってる事以外は一般人と変わらんのよな」
…しかも半人前以下として
口を閉じていたシャオロンが話し出す
「この感じ、多分一生地下暮らしや。せめて話し相手ぐらいにはなってあげてな」
ロボロが可哀想に、と眉を下げる
地下、
これからの彼女の身を案じ、瞳を伏せる
そこは基本的に何らかの理由でうまくマナを扱えない人間や能力発現したての人間が行く場所だ
地上で活動できるサスペンションとは違い、地下は国の管轄になる
経費削減のために、何の罪もない人たちがほぼ独房のような場所で暮らす最悪な所
「…とりあえずひとらんに連絡するわ」
「地下行く前にしんぺいさんのトコ連れてったろか」
「すまん」
「命が助かったのは事実やろ、胸張れって」
「チャーム渡しただけでこんな事になる事例そもそも無いし、トントンの落ち度じゃない」
普段は口悪い癖にこう言う時、素の優しさを惜しみなく浴びせてくる仲間思いの二人
その言葉と、己の後悔と懺悔その他諸々が天秤にかけたときのようにぐらぐらと重心を変え胸の内に沈み込んでいくのを感じながら携帯を耳に当てた
幼馴染のあいつは今…訓練中だろう
「…もしもし？」
「もしもしひとらん、手短に伝えたいことがある」
「なに、」
「Aさんが、タールに襲われた「ハ！？」で、死ぬ代わりに半人前のサスペンションになってもうた」
「…多分地下行きや、その前に名医に診てもらう事になったから、そこでAさんと再会したらええ。」
「…ウソでしょ」
「残念だけど、嘘じゃない」
無感情のような声が聞こえた
頭の中でなにも追いついてないんやろな
「ゾムに理由話して、今からそっちに行く」
だから、絶対会わせて、とだけ声が響く
「…場所はショッピくんが知っとるから送ってって貰い。彼速いから」
「わかった」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 823人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
恐竜少女(プロフ) - 燕さん» お返事ありがとうございます！需要あります…！ずっとやったりしないのかな…と気になっていたのでお返事頂けて嬉しいです！始められたら真っ先にフォロー向かいますね！こちらこそありがとうございました！ (2020年12月15日 21時) (
レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 恐竜少女さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！とても喜びました！Twitterはやってません…需要あるでしょうか？みなさんがTwitterでどんなお話をしているのかは気になりますね、コメントありがとうございました！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 3ea3cbd8c6 (このIDを非表示/違反報告)
恐竜少女(プロフ) - 燕様の作品を全作定期的に読み返すほどどの作品も魅力的で大好きです…！失礼を承知でお聞きするのですがTwitterをされる予定などはないのでしょうか…？お気を悪くされましたら申し訳ございません…… (2020年12月15日 2時) (レス) id: 502e5707b6 (このIDを非表示/違反報告)
燕(プロフ) - 名前さん» ストレートな言葉で照れました…ありがとうございます (2020年12月2日 16時) (レス) id: 2e704aa56d (このIDを非表示/違反報告)
名前(プロフ) - 好きだ… (2020年11月29日 17時) (レス) id: 822832712f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：燕
| 作成日時：2020年7月26日 11時
