その執事、回想《5》 ページ16
“あの人”に出会ったのは十五の時だった
父「レイチェル、アンジェリーナ、ファントムハイヴ伯爵にご挨拶なさい」
ヴ「初めまして」
父親似の赤毛が大嫌いだった
赤い色が大嫌いだった
ヴ「君は何故そんなに前髪を長く伸ばしてるの？」
マ「私は姉さんと違って美人じゃないし・・・髪だってこんな赤毛で・・・」
ヴ「人と違うのは“恥”じゃない、個性だよ」
ヴ「君には赤がよく似合う、もっと自信を持っておいで」
そして私は、前髪を切った
父親似の赤毛が好きになった
赤い色が好きになった
“あの人”が大好きになった
「お嬢様、ファントムハイヴ伯がお見えになりました」
マ「はーい」
マ(褒めてくれるかな♪)
“あの人”が来る日は似合うと言ってくれた赤を着た
ガチャッ！
レ「ああ、やっと来た。アン、いい知らせがあるの」
大好き“あの人”は大好きな姉さんと結婚することになった
結婚式には大好きな赤いドレスを着て行った
大好きな二人が幸せなら私も幸せだった
はずだった――――
「奥様！元気な男の子と女の子ですよ！」
レ「良かった・・・生まれてきてくれたのね」
レ「アン、抱っこしてあげて、貴女の甥っ子達よ」
マ「ふぁ・・・)かわいい・・・」
大好きな姉さんと大好きな“あの人”の――――
レ「大きくなったらたくさん遊んであげてね」
マ「うん！」
レ「ふふっ、鼻の形があの人にそっくり」
マ「ズキン！)」
赤い色が、また嫌いになった――――
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作者名：ベルナデッタ x他1人 | 作成日時：2019年5月26日 21時
