35 勇気を出して ページ6
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普段教室で話しているのに。
それが電話になっただけで
どうしてドキドキするんだろう。
そんな気持ちのまま
携帯を手に持って慌てて通話ボタンを押す。
「もっ、もしもし…！」
え、恥ずかしい。
ちょっと声が上擦ったかもしれない。
「くっ…、もしもし」
少し笑った京治の声が耳に響く。
それを聞いた私の心臓はさらにはやくなり
落ち着く様子がまったく無い。
空いてる方の手で
ぎゅっと胸元を掴んだ。
「ごめんね、いきなり電話して」
「いや、大丈夫だよ！でも、どうしたの…？」
なるべく平静を装って答えた。
心臓は鳴り止まない。
手に、鼓動がダイレクトに伝わってくる。
…京治の声が、面と向かって話すときよりも
ちょっとだけ低い気がする。
そこに、京治らしい
いつも通りの落ち着いた様子が加わるから
…本当は耳に当てている携帯を
離したくなるくらい、緊張している。
「特に用事はないんだけど…A暇って言ってたから、電話してみようかと思って」
「えぇぇ…！」
そんな理由で電話してくれたの？
嬉しい…！
いやでも恥ずかしい…！
１人あたふたする私の耳には
電話越しで、クスクス笑う声が響く。
「ふ、そんなに驚かなくても。…嫌だった？」
「いや全然！」
「そっか、良かった。嫌だったって言われたら、俺暇になるところだった」
「え？」
ふっ、と少し笑ったような
そんな声が聞こえて、思わず聞き返す。
「…Aに電話して切ったあとは、寝るだけの状態にしておこうと思って。今15分くらい空けたでしょ？その間に明日の準備とか終わらせてきたから」
「あっ、そうなんだ！本当に全然嫌じゃないよ！私も暇だったし…」
「うん、ありがと。てことで、もう少し話さない？」
うわぁぁ…！
家に帰ってきてからも
好きな人の声を聞けるのは嬉しい。
…勇気出せ、私。
胸元の手をグッと掴んで、口を開く。
「あ、あのさ！」
「ん？」
「京治はいつも何時に寝るの？」
「え？…日付が変わる前には」
「私もそのくらい！…で、だから…あの」
「うん、どうした？」
頑張れ私。
せっかく、電話してるんだから。
スッと息を吸って。
「も、もう少しと言わず…寝るギリギリまで、話しませんかっ」
言っちゃった…！
そう思ってたら
え、と短く驚いた声のあとに
クスクス笑いながら、いいよ、と返事が来て。
顔が熱くなる。
携帯を持つ手は、少し震えてた。
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Niko.(プロフ) - こんな青春を送りたかった..... (7月27日 1時) (
レス) @page30 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
響咲 - すごいよかったです！『最後の一行』読んだとき、嬉しくて涙出てきましたw 赤葦かっこいい/// (2019年1月1日 20時) (レス) id: 00376a9a36 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - りさん» 最後までお読みいただきありがとうございました。この上ないほどのお褒めのお言葉をいただけて、作者冥利に尽きる思いです。コメントありがとうございました！ (2017年1月23日 6時) (レス) id: 338e4d695e (このIDを非表示/違反報告)
り - いままで読んだ赤葦の小説の中で一番すき笑。すごいキュンキュンした。 (2017年1月21日 1時) (レス) id: 91e9e3b802 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ?.さん» 最後までお読みいただきありがとうございました！私の思い描いていた赤葦さんに共感していただけたみたいで嬉しい限りです。甘酸っぱい恋のお話でした(笑)これからもお楽しみいただけるよう、頑張らせていただきます！ありがとうございました♪ (2016年6月15日 13時) (レス) id: 338e4d695e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう
| 作成日時：2016年4月11日 16時
