50 最後の一行 ページ26
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半分くらいまで終わったとき。
ちらっと京治の様子を伺ってみたら
頬杖をつき、私の方を見てた。
……え、いつから！？
「け、京治？」
「ん？」
「勉強は…？」
私がノートを写す作業に集中していたせいか
京治が勉強してるかどうかなんて
全く見ていなかったけど。
よくよく机の上を見てみたら
勉強に取りかかっている様子がなかった。
「Aが終わってから、一緒に始めようと思って。今はAを観察中」
「え、やだ…！」
「ふっ、なんで？俺のことは気にせずに続けていいよ」
そんなことを言われたって！
見られてると思うと
なんだか書きづらい。
ちょっと、頬が熱くなった気がする。
「ほら、早く写し終えないと勉強する時間無くなるよ」
クスクスと笑いながら言ってくる京治。
ちょっと意地悪入ってませんか。
でもここは図書室で。
あんまり騒ぐのもいけないと思ったから
京治のことは視界に入れないように
残りの文を写すことにした。
いつもより速いペースで。
でも見られているから
字はなるべく丁寧に。
意識しながら書き続けるって
結構精神力を使うもので。
時折、首を回しながら。
たまに背もたれに寄りかかって休みながら。
…京治に見られながら。
最後の一行を、写そうとしたときだった。
最後に書く文は、と
目で、指で…たどったとき。
「…えっ」
思わず、声を漏らす。
え。え？
ちょっと待って…！？
心臓がはやくなる。
顔なんてもう、これでもかってくらい
熱を持ち始めた。
「…A？最後まで、ちゃんと写してくれた？」
私の顔をのぞき込みながら
そう聞いてきた京治に
思わずびっくりする。
「え、や…え！？」
驚きの声しか上げられない。
「写し終わったなら、付箋に返事書いて下さい」
……クスッと笑う京治は
私が付箋に書く言葉を
多分もうわかってる。
だって鋭いもん。
……っ、
心臓がはやい。
ドキドキしてる。バクバクしてる。
顔も熱くて、体も熱い。
シャーペンを握っている手には
汗をかいてきた。
もう一度、ノートに目をやる。
…なんだか泣きそうだ。
だって、こんなこと、あっていいの？
最後の一行。ノートに書かれた文字。
『俺、Aのことが好き。だから俺と付き合ってくれませんか』
ゴクリ、唾を飲んで。
少しだけ滲む視界の中
筆箱の中の付箋に、震える手を伸ばす。
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Niko.(プロフ) - こんな青春を送りたかった..... (7月27日 1時) (
レス) @page30 id: 270b34836a (このIDを非表示/違反報告)
響咲 - すごいよかったです！『最後の一行』読んだとき、嬉しくて涙出てきましたw 赤葦かっこいい/// (2019年1月1日 20時) (レス) id: 00376a9a36 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - りさん» 最後までお読みいただきありがとうございました。この上ないほどのお褒めのお言葉をいただけて、作者冥利に尽きる思いです。コメントありがとうございました！ (2017年1月23日 6時) (レス) id: 338e4d695e (このIDを非表示/違反報告)
り - いままで読んだ赤葦の小説の中で一番すき笑。すごいキュンキュンした。 (2017年1月21日 1時) (レス) id: 91e9e3b802 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ?.さん» 最後までお読みいただきありがとうございました！私の思い描いていた赤葦さんに共感していただけたみたいで嬉しい限りです。甘酸っぱい恋のお話でした(笑)これからもお楽しみいただけるよう、頑張らせていただきます！ありがとうございました♪ (2016年6月15日 13時) (レス) id: 338e4d695e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう
| 作成日時：2016年4月11日 16時
