この線、越えるか、消すか。２

５７歩目 ページ7

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ﾊﾞﾀﾝ｡
自分の家に入って、ふぅ。と短く息を吐く

１回、落ち着け私。
次戻るときは、何も考えるな。

大丈夫、いつものこと。
今更気にする事なんて、何もない…

自分に強く言い聞かせるように
胸に手を当てながら心の中で呟く。




…あんまり遅いと心配されるな。
早く作って、持って行こう。



ぎゅっ、ぎゅっ
と、一個ずつしっかり握っていく。


ひたすら握るだけだから、考える時間が増えるわけで。
今だけなら、考えてもいいかな、なんて思って…さっきのことを思い出す。




さっきの発言からして、クロはさくらちゃんのことが好きなのかもなぁ。
もしそうだったら、両思いじゃん？
さくらちゃんも、きっとクロのこと好きだもの。

いいな、なんて考えはすぐ消し去る。


…もしあの２人が付き合ったら、


ぎゅっ。
手を止める。


……悔しいくらいにお似合いすぎて。
言葉がなーんにも出てこなくなりそう。(笑)


「バカみたい。」



私がどれだけクロのことを想ったって
幼なじみのラインは越えられない。
そんなの、わかってたことじゃない…。


ぎゅっ。ぎゅっ。


考えたってどうにもならないことも。
自分の気持ちは口に出せないことも。

ぜんぶ全部、


ぎゅっ。ぎゅっ。


出来たおにぎりをひとつ手にとって
ぱくっとかじる。いわゆる味見。


あれ、なんでだろ。しょっぱい…
それになんだか、べちゃっとしてるかも…



それは本当に失敗したおにぎりなのか
はたまた別のものなのか。


頬を流れるソレに気づかないフリ。



大丈夫、私は我慢できる、



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