この線、越えるか、消すか。【黒尾鉄朗】 (ページ36)

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３６歩目ページ36

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─黒尾side

ク「悪かったな…」

解散前にそう呟いた俺に
みんなニコニコして返してくれる。
言葉こそ発さないが、気にしてないって言われてるみたいで、少し心が軽くなる。

ク「さくら、送るよ。」

さ「あ、はい！ありがとうございますお願いしますっ！」

早口で喋るこいつに、ｸｸｯと笑う

さ「クロ先輩は、Aさんが好きなんですか？」

ク「は？」
突拍子もないことを言われ、ついついいつもの俺が出てしまう。

ク「あ、わりぃ、怒ってるわけじゃないんだ」

さ「ふふ、大丈夫ですよ、わかってます。クロ先輩、私が怖がらないように言葉選んでくれてますよね！」

ク「なんだ、見抜かれてんのか。(笑)じゃあ、わざわざ遠慮する必要もねぇな？」
クスッと意地悪げに聞くと

はい！なんて、元気に返ってくる。

今は、さくらの元気の良さに救われる。

さ「それでっ、どうなんですか？？」

ク「(なんだ、覚えてたのか…)どうもこうも、好きとかじゃねーよ。そりゃ、好きか嫌いかって聞かれたら好きだけど。大事な幼なじみだ、手の掛かる妹みたいな…」

なんだ、これ。自分で言ってて、モヤモヤする…

さ「へぇ！意外です！私、てっきりクロ先輩はAさんが好きなんだと思ってました。さっき怒ったのも、ヤキモチじゃないんですか？(笑)」

からかうように笑うさくら。
ヤキモチって。さくらにもわかるくらいなのかよ

ク「お前なぁ、思うことは勝手だが、先輩をからかうのはまだはえーぞ。」ﾆﾔ

そう言ってごまかす。

さ「…クロ先輩、やっぱり手強いです！！あ！じゃあ、ここで！さよーなら！！」ﾆｺｯ

ク「おー、お疲れ。」

気付いたらさくらの家の前。
ちょっと元気もらったな。

ク「さくら。」

さ「はい？」

ク「さんきゅーな。」

その意味を込めて、ポンッ、と頭に手をやる

さ「っ！！///」

さくらの顔の赤さに、俺が気付くことはなかった

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