SPEC 覇の回 (ページ8)

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覇の回8 ページ8

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『先日、警視庁に身柄を拘束されていた男性が……』

街中の大きなビルに映るワイドショー。

それをチラリと観た有栖川Aはヘッドホンをして、外界とのコンタクトをシャットアウトした。

ヘッドホンからはお気に入りの音楽が流れ、人の流れに沿うように警視庁に続く道を進む。

彼女はこの国を守る国家公務員であり、勤め先は警視庁。

つまり、刑事だ。

しかし彼女の職場は警視庁の正面から入るより、裏手側から入った方が圧倒的に近い。

だから正面から出勤することは、まずない。

彼女の職場は警視庁の地下21.5階に位置し、他の職員からは『お荷物部署』やら『幽霊部署』やら言われている。

が、係長も彼女自身もあまり気にしていないので支障はない。

地下22階まで来たらあとはエレベーターで0.5階分だけ上がる。

檻のようなエレベーターに乗り、彼女の職場"未詳"に向かった。

「っおはようございます！」

出勤した彼女の目にまず飛び込んできたのは、スーツをピシッと着こなし、敬礼している茶髪の若い男。

そして優雅にミルクを飲んでいる係長だ。

「誰ですか？」

「えぇ、もう昨日言ったじゃん～。

新しくうちに移動になった丸山くん！」

あぁ、と納得した彼女は、デスクに向かった。

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