覇の回47 ページ47
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「事件のあったあの日学校に居たら兄からメールが届いたんです。俺はそろそろ淳太に殺される。この事は誰にも言うな。このメールも消せって。
訳が分からへんくて、職員会議があった時間に丸山さんが言った通り僕は家に帰りました。でも帰った時にはもう、兄は亡くなってて。
言われた通りメールを消して、僕は淳太くんのことを誰にも話さないように、細心の注意を払いました」
中間が桐山を思う気持ちと同じくらい、桐山も中間のことを思っていた。
ただその気持ちのシーソーが片方が重たすぎると壊れてしまう。
ただそれだけだ。
「すみません、御手洗借りてもええですか？」
「部屋出たら右に真っ直ぐ行って突き当たりを左に曲がるとあります」
丸山が立ち上がり部屋を出ていく。
静寂が訪れた部屋で沈黙を破ったのは望だった。
「有栖川さんも、特別な力を持ってるんですよね？」
「初めて会った時じっと見られてたけど、その時にはもう気づいてたの？」
「はい」
「そう、」
「その力、丸山さんにはいつ話すんですか？」
有栖川は黙って、望から視線を逸らした。
「大切にして下さいね。持っていて損をするかもしれへんけど、与えられた力ですから。
有栖川さんはその力を持っていても、幸せになってくださいね」
そう言ってフッと笑った望に、有栖川は疲れたように笑いかけた。
「もう遅いよ。
進んでしまった時間は、止められない」
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作者名：ゆう☆
| 作成日時：2016年2月18日 3時
