覇の回32 ページ32
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「それで？」
「それでって？」
「結局口割ったん？それとも黙秘したん？」
「白状してるなら、今頃こんなとこ居ませんよ」
「せやな。取調室へgoやもんな」
ハハッと笑ってポケットから煙草とライターを出す。
全く、そんなものが何故美味しいのか有栖川には理解出来ない。
「せやけど、アリスちゃんの読みはあながち間違ってへんのちゃう？」
「ほんとですか？」
「当たり前やけど桐山照史の部屋からは桐山望と中間淳太の指紋が出てきた。
仮にこれが殺しならば、何か知ってるのはその２人っちゅうこと。
勿論容疑者にも1番近い存在やねんけどね」
ケラケラと可笑しそうに笑い、煙草を吹かす。
この男は鑑識の安田章大。
有栖川とは捜査一課の時からの仲だ。
「そんなことより、そろそろ1年か…」
「あれから、1年です」
階級は有栖川の方が上だが、年齢は３つも安田の方が上だ。
その為彼女は安田に敬語を使っている。
「今度、顔出してくるわ。あそこにはまだ行ったことないから」
「お願いします」
小さく頭を下げ、椅子から立ち上がった。
部屋を出ていこうとする有栖川を呼び止める。
「アリスちゃん、新しい子とはどう？」
「仲良くやらせてもらってます」
「彼やったら相棒なれる？」
「それは……、多分無理です」
そっか、とだけ呟いた安田は軽く片手を上げた。
お辞儀して部屋を出ていく有栖川。
吸っていた煙草を灰皿に置き、安田は仕事を再開した。
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作者名：ゆう☆
| 作成日時：2016年2月18日 3時
