春の線香花火 ２

58. 永瀬廉side ページ8

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「だから私、廉のこと諦めようと思います」





永瀬「…は！？ちょっと待てって」





「ごめんもう決めたの」






混乱する俺を他所に、笑顔を崩さず

真っ直ぐとそう言うA。






永瀬「意味わからんて」





「いいじゃん最後くらい私に決めさせてくれても」







強がってんのかな

俺に今日振られるとか思って

その前に止めようとしてんのかなとか





色々と考えが巡り

どうにかAの考えが変わらないものかと

Aに一歩歩み寄って必死に伝えた







「俺は、お前と付き合いたいって思ってる」





この言葉って

８年間俺に言われたかったこと

じゃないんか？



って、心の俺が叫ぶ






でも目の前にいるAは

ついこの前まで俺に好きだ好きだと

言っていたAとは別人のように

凛々しく敵わない表情をしていた







「…ありがとう。

でもいいんだよそんな無理しなくて」





永瀬「無理なんかしてへんて」




「でもそう思っちゃうんだよ！」






その途端。



あんなに笑顔だったAの顔が

一気に泣きそうなくらいに歪んだ





″そう思っちゃうんだよ！″





そりゃそうか。




８年間コイツは俺に何回傷つけられ

期待して、裏切られてきたんだろう







「ごめんね、私が悪いの。ごめん」






そう言って背を向け歩き出すAを

追いかけることもできなかった




それは





全部、俺が悪いんだよなって




こうなってからようやく気づいて




追いかけてもかける言葉が無かったから

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