春の線香花火 ２

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Aside






永瀬「お前も海人と同じでアホやな

春に線香花火って」



「線香花火は年中無休」



永瀬「理由も一緒やん」






文句を言いながらもバケツに水を入れて

用意してくれる廉






永瀬「いつの花火？今年の花火ちゃうやろ

つかんのちゃう」


「やってみないとわかんないじゃん」


永瀬「じゃ、日頃の行い次第やな」






二人でしゃがんで線香花火を手に持つ

廉がチャッカマンで火をつけてくれた



なかなかつかない花火



無理なのかなと思ったそのとき

バチバチと火がつき始めた






「あ！ついた！日頃の行い！！」


永瀬「はい俺もついた〜！日頃の行い！！」






ついただけで夜中なのに近所迷惑なくらい

騒ぐ私たち






「線香花火ってさ、

消えかかる瞬間たまんないよね」



永瀬「めっっちゃわかる。

絶体絶命の急死から復活してくる感じやろ」



「そうそう！」




キレイ！！と二人で言いながら

盛り上がっていく火花を見つめる




永瀬「あー！もうおちた！」


「まだあるよ、はい」


永瀬「あんがと」







２本目の火を灯しながら

ボーっと眺める




明日の朝、また帰らないといけないのか…








「私さー、引っ越して気づいたんだけどさ

本当にこの街で、この仲間と過ごしたの

楽しかったなって」



永瀬「……俺も」







「…じゃ、最後の１本いこっか」







残り２本になった花火に手を伸ばす









そのとき









花火を掴もうと手を伸ばした私の手の上に


廉が手を重ねてきた








驚いて廉を見ると





下に向けていた顔をゆっくりとあげ





視線が絡む









永瀬「…これさ、


来年もつくかな？」









まるで首でも絞められてたかのように


息ができない






ドクン



ドクン



ドクン







そして、離れる手





一気に血液が

全身に流れてくるような感覚に陥る






「…あ、ああ、つくんじゃない？

日頃の行いが良ければね」






動揺を抑えてしっかり話せてるかな






永瀬「じゃあ、来年一緒にやろうや」





「え？」




永瀬「これ」







廉の茶色い瞳が私に映る







「…いいよ別に」



永瀬「今いいって言ったで」



「うん、いいよ」



永瀬「約束な？」



「…うん」



永瀬「来年ここでやで？」



「だからいいってば！」





廉がなにを考えてるのか


本当にわからない





私、





結局彼に





振り回されてるね

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