春の線香花火 ２

96. 永瀬廉side ページ46

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永瀬廉side






「星綺麗だね今日」



永瀬「いま目に焼き付けといた方がええで

東京は見えへんやろうし」



「そうだね」







数えきれない星が俺たちを見守ってくれてる

みたいだった








「いま流れ星流れたらどうする？」


永瀬「流れへんやろ」


「いや、もし流れたら」


永瀬「……最高のアイドルになれますように、やな」


「ふふ、そうだね」


永瀬「Aは？」


「…じゃあ、最高の…保育士になれますように」


永瀬「はは、目指すんや」


「…実は、ちっちゃい時の夢だったりもする

私も諦めたんだけどね」


永瀬「なんや、俺ら似たもん同士やな」







流れ星なんて一回くらいしか

見たことないのにアホなことを言う俺ら








そのとき





キセキって起きるもんなんやな









「まって、見た？」

永瀬「やばいって、見た！？見た！！？」







　

流れ星が俺らの頭上を確かに流れた








「お願いごと！！！早くしなきゃ！！」







「「…」」








「なにお願いしたの？」



永瀬「はー言わんし」



「さっきのやつ？」



永瀬「…じゃ、一緒に言ってみる？」



「…いいよ、せーの」








永瀬「Aが最高の保育士になれますように」


「廉が最高のアイドルになれますように」









Aのことを祈ったから

Aと言葉がハモると思ったのに

俺たちはお互いがお互いのことを祈っていた









永瀬「…アホやん俺ら」



「……似たもん同士、だね」



永瀬「……ほんまやな」









綺麗な星空の下で

Aと見たこの景色とこの願いを

忘れずにいようと目に焼き付ける









「っていうかさ、最後にもう一個だけ

やりたいことあるんだけど、いい？」

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