春の線香花火 ２

71. ページ21

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Aside





ーPrince BAR







神宮寺「Aは東京でなにするの？」



「とりあえずバイトしながら考えよっかなって」



神宮寺「そっか」



「みんなどんどん新しい時代に突入してるし

私だけ置いてけぼり食らいたくなくて」




神宮寺「…ふーん」





すると携帯の着信音が鳴り響いた




それは、私より一足先に今日

大阪へ引っ越す紫耀だった






「もしもし？」



平野「もしもし。」



「今から出るの？」



平野「うんそう」



「見送りに行ってあげようか」



平野「いや、いい」



「ほー、どうしてですかー」



平野「本当に、出発できなくなるから」



「え？」






紫耀の声と電話越しに微かに聞こえる風の音




今まさに、大切な一人の仲間が


旅立とうとしていた






平野「俺、Aのこと言い訳にして



生きてきたからさ」




　


平野「自分が夢を追いかけない理由を



ずっとAが好きだからって理由で



誤魔化してきたから」








平野「けど。もういい加減前に進まないと



いけないからさ」







真っ直ぐな紫耀からの想いに胸を打つ







「…うん」








平野「ありがとう。A」







平野「…いってきます」








直後すぐに通話が切れたことを示す電子音が

虚しく鳴り響く



いってらっしゃいを言う前に切れた電話



頑張ってねを伝える前に切れた電話








神宮寺「…電話、紫耀？」



「…うん。」







不覚にも








「紫耀ってさ、かっこいいね…」








初めて紫耀に鼓動が高鳴った

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