77. ページ29
.
楽屋で２人、お互いに向き合って立っている。
もっと離れて言えば良かった。
最初に泣いてしまったときにマサさんがわたしの肩を撫でてくれていたため、こう話している今も、すぐ見上げた至近距離に、マサさんがいる。
「…どんな時でも側にいてくれたマサさんが、大好きで大好きで。……マサさんは優しいから。優しすぎるから。
それは、私だけに対しての優しさではないことはわかっています。
優しいからこそ、勘違いしてしまっていることも自分でわかっています。
そして、いま困らせてしまってい…」
「ま、待って？ちょっと…えっと……」
マサさんは両手を顔の前で合わせて、上下に小刻みに動かし、何か頭の中を整理している。
「…俺……全然、誰にでも優しいわけじゃないし。今、困ってるわけじゃないし…」
そこまで言うと少し口をつまんで、鼻の上をポリポリと掻いている。
その仕草も、好きだなぁと感じた。
「…や、優しくしたのは……Aちゃんだから…」
「…え？」
扉の向こうから聞こえてた廊下での喋り声や、誰かがパタパタと歩く音や時計の音すべてが、何も聞こえなくなる。
まるで、私とマサさん２人だけの世界に入ってしまったかのようにー.
「………ちょっといま本当にびっくりしてるけど……」
次の瞬間、フワリとマサさんの匂いに支配された。
…抱きしめられたのだ。
「……好き。Aちゃんのこと。」
ぎゅーー と強く抱きしめられ、頭をその大きな手の平でマサさんの胸元へと当てるように置かれる。
「……嘘…」
「…嘘じゃないよ」
ゆっくりと私の肩を持って体を離したマサさんと、目が合う。
…見たことない。
マサさんのこんな目、演技でも見たことのない。
そんな目で私を見つめているマサさんに、やっと想いが叶ったということを実感し、嬉しくて嬉しくて、涙がこぼれた。
「…もー、また泣く……でも…今はちょっとだけ、俺も泣きそうだー(笑)」
そう言いながら笑うマサさんの目には確かに涙が浮かんでいて。
何も言わなくても、この涙が、今までお互いがお互い、同じ思いをしてきたのだということを物語っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 827人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
tethi - すいません間違えて低評価押してしまいました本当は10です。 (2017年10月18日 7時) (
レス) id: 37a7313118 (このIDを非表示/違反報告)
ロダリオ(プロフ) - はじめまして(^^)お気に入りして一気に読んでしまいました窪田君大好きなんで窪田君の優しさが伝わってキュンキュンしました (2016年10月23日 21時) (レス) id: ec2d12b21a (このIDを非表示/違反報告)
barumi(プロフ) - maimaiさん» ありがとうございます（ ; ; ）一気に読んでいただけたんですか…！嬉しいです…！！ぜひ！！よろしくお願い致します！ (2016年8月6日 19時) (レス) id: a51fd46bb9 (このIDを非表示/違反報告)
barumi(プロフ) - おむらいすさん» 一気に！ありがとうございます！！（ ; ; ）嬉しいです！この小説をきっかけに更に好きになっていただけたら、こんなに嬉しいことはありません！ありがとうございます！ (2016年8月6日 19時) (レス) id: a51fd46bb9 (このIDを非表示/違反報告)
barumi(プロフ) - yukiさん» はじめまして！読んでくださってありがとうございます（ ; ; ） キュンキュンしてくださって嬉しいです…！！ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2016年8月6日 19時) (レス) id: a51fd46bb9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：barumi
| 作成日時：2016年7月16日 18時
