[∞]せんせい[緑]

壮絶な ページ35

*大倉side





｢…ほんで、Aは３年前
ヨコと一緒にうちに来た。

まあ、親父さんは生まれこそ関西やけど
事務所は東京に構えてたからな、
東京から関西、ここに逃げてきたんや。｣




村上さんから告げられたAの過去は
壮絶すぎて、その話を聞いたあと
しばらく思考が止まってしまった。




｢まあ、こっち来て
難なく暮らせてるからオールオーケーやけどな、｣

｢……そう、ですね｣




俺は村上さんから天井に視線を戻して
思わずため息をつく。



｢って、オールオーケーやないですよ！｣



しかし、重要なことを思い出してまたすぐに声を上げる



｢なんで、ええところに逃げてこれてるのに
学校来ないんですか、A。｣

｢ああ、それはな……｣



俺には、Aを学校に連れ戻すという
重要な任務がある。

口を開きかけた村上さんの元に
他の声が割り込んでくる。




｢もういいですよ、その話は。｣




Aが、洗面器とタオルを持って戻ってきた。




｢私がA組の子供だって知られたんだよ。
…理由、分かるだろ。｣

｢なんで……｣

｢はっ、ヤクザの子供と仲良くしたいヤツなんて
いるわけない。
それ知った途端誰も話さなくなるし、
保護者が乗り込んできて私を辞めさせろって
騒いでんだよ。

……あんな家に産まれた私が悪いし、
みんな怖がらせるわけにもいかないから。｣






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