まもりたい ページ20
*大倉side
｢おっせーな、AAよお！
ああ゛？お前…隠してるんとちゃうやろな｣
｢知ら……ない、です｣
｢どこに居るかぐらいわかるやろっ!!
あいつの住んでる場所はどこや！｣
｢……おしえ、ないっ…！｣
｢おもんないこと抜かすなや！｣
男はそう言うとまた俺の腹を殴る。
いつも通りAの家に向かってる途中
ガラの悪い男達に囲まれて
知らない倉庫に連れ込まれて、
気づいたらボコボコにされている。
Aを探しているらしいが、
簡単に教えて生徒を危険に晒すなんて
教師として出来るわけなくて…
元々、ヘラヘラして若い頃過ごしていた俺は
学生の頃もよく
ガラの悪い人たちにボコボコにされていて
この状況は慣れている。
いつもなら簡単に口を割ったり、
金を払って逃げていたけど、
Aにだけは逃げる男だと思われたくない。
学校に来い、逃げずに来い、
と言っている立場として
逃げるところをAに見せるわけには
いかない。
今日は多分もう彼女の元へは顔を出せないけど
明日だって会いに行ってやる。
どうせ殺されはしないから
一晩ぐらいなら耐えてやる。
それでAを諦めてくれるなら
Aを危険から守れるなら……
｢はっ…男のクセに何泣いてんだよっ！！！｣
ボコっと鈍い音がして、
いよいよ顔を殴られた。
その衝撃でようやく俺は、
涙を流していることに気づいた。
思わず自嘲する。
心の中ではカッコつけて
生徒を守ろうとしているくせに
本能は怖くて逃げたくて仕方が無いと
涙をもって知らせている。
ああ、俺は
昔から何も変わってないんやな。
｢何ヘラヘラ笑ってんだよ！｣
また、殴られる。
怖い。
怖いよ。
俺が何したっちゅーねん。
俺の何が気に食わんねん。
……誰か、助けてくれ。
俺は、涙でボロボロになるのを感じながら
鼻をすすった。
その瞬間、
ドゴォン！
と、ものすごい音がして
倉庫に光が差し込む。
｢大倉っ！！！｣
ああ、俺守ってやったのに。
守りかったのに。
なんで来るんや。
なんで来てまうんや。
ああでもホンマに、
助かる……
彼女の叫び声を耳にして、
俺は初めて彼女と出会ったあの日のように
意識を手放した。
.
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有希。(プロフ) - ピエロさん» ありがとうございます！初コメント頂いて感激です。頑張ります！ (2017年1月1日 16時) (
レス) id: 26851cf6e5 (このIDを非表示/違反報告)
ピエロ - 今日はじめてみました。更新待ってます (2016年12月31日 17時) (レス) id: cb976b3c25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有希。 | 作成日時：2016年12月19日 19時
