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そうしてたどり着いた家庭科室。
みんなで大きな鏡の前に立つ。
ここへ来ても、目立った気配は感じなかった。
広「12時まであと20秒。」
不安そうに俯く法子さん。
郷「大丈夫だって、ノロちゃん。どうせ何も映んないから。」
声をかけられても、そっと目をつぶるばかり。
広「10、9、8…」
広くんがカウントダウンを始める。
広「…3、2、1、0!」
訪れた静寂。
結局鏡には何も変わらない私たちが映っていた。
広「なあ、まこと。何も変わんねえだろ?」
ま「うん…」
美「どう?気が済んだ?」
法子さんは、まっすぐに鏡を見つめている。
克「さあ、じゃあ、帰りますか。」
みんなぞろぞろと家庭科室を出ていく。
しかし、法子さんはその場から動かなかった。
あれは私の気のせいだったのかな…
ま「行こうか?」
法子さんへ向けられたまことくんの言葉を背に、私も教室を出た。
前を歩く彼らを見る。楽しそうに法子先生をおぶり、楽しそうに腕を組んでいる。
「友達、か…」
そのときだった。
「っ!!」
授業のときに感じた、あのイヤな気配。
私は再びもと来た道を走った。
やっぱり…
やっぱりあれは気のせいなんかじゃなかった!
家庭科室へ飛び込むと、鏡の中から手を引かれる法子さんを、まことくんが必死に押さえていた。
「法子さん!まことくん!」
急いで彼の後ろに回り、彼女が引き込まれそうになるのを耐える。
でも、中に引く力はものすごく強くて、
法「もうダメ!」
ま「誰か、助けて…」
「あきらめちゃダメ!」
思いきり声を張り上げる。
「あんたなんかに、私の周りの人を好きにはさせない!」
力の限り引っ張る。
ま「うわあ!」
そのとき、まことくんの手が離れ、一気に法子さんは鏡の中へ――
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サヤノ - 初めまして、悠梨さん、地獄先生ぬーべーの夢小説を熱心に読んでいます…サヤノと申します、以前はアニメのぬーべーも知っていますが実を言うと子供の頃に見た事があります、ヒロインちゃんが霊力少女ですね、以後よろしくお願いします! (2017年7月5日 11時) (レス) id: bd4916d1d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠梨 | 作成日時:2015年4月2日 3時