過去と現在の狭間８ ページ10
雅紀side
俺が振り返ると同時に抱きついてきた潤
寝たと思っていたから、正直驚いている
雅「…潤？…起きちゃった？」
潤「っ、…まー、くんっ…」
たぶん潤は、母さんのことを
思い出したのかもしれない
潤が俺を “まーくん” と呼ぶときは、
母さんを思い出したときだけだから
雅「…潤？母さんのこと思い出したの？」
潤「っ！……うん…」
雅「…そっか〜」
バレてると思ってなかった
みたいで、身体をビクつかせた
潤は母さんのことを
思い出すと、いつもこうなる
母さんが俺のことを
“まーくん” と呼んでいたのを
真似しているんだと思う
雅「潤？母さん、何て言ってた？」
潤「……じゃあね、って…見えなく、なったの…」
雅「母さんは空で、俺たちを見てるって言ったでしょ？バイバイじゃないよ？」
潤「…でも、…おかーさんが…」
雅「それは夢でしょ？母さんとはもう会えないけど、上から見守ってくれてるから」
潤「っ……おかーさんっ…」
また目に涙を溜めて
顔を歪めながら俺の胸に埋めた
夜ってこともあり、
声を必死に我慢している
息を止めて声を抑えようと
する癖が治らず、過呼吸になりそうだ
雅「潤？ゆっくり息して？」
潤「…っ、…んっ、っ」
雅「潤？すー、はー、やってごらん？」
潤「…んっ、はっ、すっ、はー」
雅「ん、上手に出来てるよ」
背中を撫でながら呼吸法を教えてあげる
落ち着いてくると目がウトウトしだした
俺は、机の電気を消して潤と一緒に布団に入る
雅「俺も一緒に寝るからね、安心して寝ていいよ、潤ちゃん…」
潤「っ！……おかーさんの…」
雅「ほら、目をつぶって…すぐに寝れるから」
目を閉じさせると
あっという間に静かになった潤
次第に規則正しい寝息が聞こえ始めた
雅「今度は朝まで寝れるといいね…」
日に日に目の下のクマが
わかりやすくなっていた潤
雅「…母さん。俺と潤はいい家族に恵まれたから、心配しなくていいからね…」
大事な弟を腕に引き寄せ、
優しく抱きしめながら呟いた
END
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作者名：雅宗 潤美 | 作成日時：2017年10月4日 19時
