隣の人は、猫被り君でした。《キヨ。》 (ページ6)

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episode4 。ページ6

キ「まぁ、そうだよな。A分からねぇか。」

『え .. ？』

キ「俺、「演じてる」んだよ。」

.. 演じてる？演じてるって何を？理解が追いつかない。演じてると言うことは、私が今まで憧れてたキヨ君は本当のキヨ君じゃなくて「偽り」のキヨ君って事 ..？

キヨ「だから、要するに .. 今の俺が本物の俺なの。」

『そんな .. そんなの違う .. ! キヨ君は明るくて、優しくて .. クラスの人気者だもん ..! 私がずっと憧れてたんだから ..! 』

私は、思わず勢いよく椅子から立ち上がり否定する。

さっき私が思ってたのが合っていたんだ。

でも、そんなの信じられないわけがなくて。

キ「へぇ .. 俺の好きだったの .. ？」

キヨ君は、私に近付き向かい合うようにしゃがむ。
こうしてみると彼は本当に綺麗な顔立ちだ。

窓が少し開いていたので、彼の赤がかった髪がゆらゆらと揺れていて近くにいるからか彼のいい匂いもする。

私は、それに耐えられなく心臓が鳴る。好きなわけない。憧れてだけ。

だから、特別な感情なんてあるわけない。

私は、先生に言われたプリントを留めることすら忘れてしまうほど彼に釘付けになっていて。

『好きじゃないです .. 』

今、私は顔が赤くなってる。
そんな顔で言われれば説得力なんかあるわけない。

好きだと思われてしまう。好きじゃないのに。

憧れていたキヨ君は偽りのキヨ君。

今のが本物のキヨ君。

だけど、今のキヨ君の方が良いって思えてしまうのは .. 何でだろ。