今日、君を拾った (ページ9)

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君を拾った9 ページ9

I国、ビラ、そしてフラメの言葉。
もしかして、

「…君ってW国にいたの？」

「…みゃお」

「I国の王様が自ら探すようにさせるってことは……W国のお偉いさんの猫？」

「……」

私の言葉に猫は静かにこちらを見つめてゆら、としっぽを緩やかに揺らした。
この反応は…あたっている、のか？少なくともW国にいたのは間違いなさそうだが……

「W国かあ……」

W国は戦争国家だと聞いたことがある。王様ではなく総統が国を治めているらしい。確か、…前に妖精さんが話していたのを聞いた時は幹部と呼ばれる人がいるとか…いないとか。
これは…噂好きの妖精さんに聞いた方がいいかな。
W国は今、敗戦国家で単語自体出すのもタブーな所とかあるだろうし、中立国家であるF国では情報を探すにも苦労するだろう。
…………よし、

「君！」

「みゃおん」

「急だけど、明日から少し外へ行こう。君のご主人様を探しに行くんだ」

「……」

「傷はまだ治ってないけど…私のいない家で過ごすのは少し無理だろうから、一緒についてきてほしい。噂だとW国のお偉いさんの所在はイマイチわからないから…少し遠いけど、T国近くにある泉まで行って噂好きの妖精から話を聞いてみよう。彼女ならきっと君のご主人様の居場所を知ってる」

「！にゃおん」

「その様子だと、返事はYESだね」

そうと決まれば急ピッチで出掛ける準備をしなくてはならない。
必要なのは…ある程度の食料と水とタオルと……あぁ、それから猫ちゃんの傷を悪化させないような持ち運び手段を考えなきゃ。まだ、猫ちゃん自身も歩こうとしないから…私が持っていくのがいいだろうからね。

猫ちゃんはお利口さんだし、キャリーみたいなものに入れなくても無理に動くことはないだろう。……いっその事、服に大きめのポケットを作ってそこに入ってもらうか？
左右に穴が空いてるんじゃなくて…21世紀の猫型ロボットのポッケみたいに上が空いてるやつ。
……一旦それで作って猫ちゃんに試してもらうか。となれば…適当な服にポッケを作ろう。

パタパタと忙しなく部屋を歩き回る私を眺めて猫が笑う。しっぽはご機嫌にゆらりと揺れた。