今日、君を拾った (ページ27)

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君を拾った27 ページ27

泉の端、木々に囲まれてパッと見ではわからないが、確かにそこには家が建っていた。
元々は巨木だったのか、それとも合体木だったのか。そこには大きなツリーハウスがあった。
恐らくこれは出発前にマリィが言っていた家なのだろう。妖精が作った家か……言っては悪いがちゃんと家になっているのだろうか…？

少しの不安を胸にツリーハウスの階段を上る。とん、とん、とん、と軽やかな音をたてて上まで行けば少し広いスペースがあって玄関扉があった。落ちないように柵もたてられている。思っていたより丈夫な作りだ。

「失礼しまぁす……」

ゆっくりと扉を開けて中を覗く。中は当然のことだが木でできていて落ち着く雰囲気だ。火の妖精の明かりも部屋を穏やかに照らしていた。
中を探索すると寝室やリビング、お風呂場やキッチンなど、人が生活するにあたって必要なものは揃っているようだった。
外観と比べて中が広いのは妖精の道と同じ原理なのだろうか。まあ、使えるならそれでいいか。

「うなぁ」

家の探索を終えてリビングと思われるスペースのソファに座って休んでいるといつの間にか私の足元に猫がいた。猫はスタッとソファに飛び乗って私の横で丸くなった。
猫がいるということはマリィの説明は終わったのだろうか。顔をあげて周りを見ると玄関に続く扉の前でシュメッターさんが少し不安そうな顔をして立っていた。

「…マリィの説明は終わりましたか？」

「あ、はい。丁寧に説明してもらいました…それで、…」

「…？」

「ありがとうございます、本当に…私を助けてくれたのも勿論ですが、グルさん…猫を助けてくれたことも」

シュメッターさんはそう言うと腰から曲げるようにして深く頭を下げた。その行動に思わず私はソファから立ち上がってシュメッターさんに顔を上げるように慌てて促した。

「顔をあげてください…！私自身、お礼を言われるようなことをしたと思っている訳では無いので…！！」

「いえ！それでも！…この人が無事やったってだけで私たちは救われますから。今は何も手持ちがないので…どうか、お礼だけでもさせてください」

シュメッターさんのその言葉に私はわかった、と静かに頷いた。それでようやく、シュメッターさんはにこ、と笑ったのだった。