今日、君を拾った (ページ24)

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君を拾った24 ページ24

私は背負っていたリュックから水筒を取り出してシュメッターさんに飲ませる。目が少し虚ろだがしっかりと水を飲んでいる。水もあまり与えられなかったようだ。

「…あの、どうして…」

「話は私の拠点で。早くここから出ないとですから。さあ、肩を貸しましょう」

「…はい……！」

シュメッターさんは私よりも背が高かった。私の肩を貸すというよりかは、私がシュメッターさんの腰に腕を回して支えているというほうが正しい。

ゆっくりだが、着実に。私とシュメッターさんは上へと上がっていった。ギィ、と思い音をたてて入口の扉をゆっくり開ける。外は月の明かりによって照らされていたが、私たちが外へ出た途端に分厚い雲が月を覆う。…これは、月の妖精だな？私たちの脱出を助けてくれるらしい。

「にゃおん、……」

「これは……」

人がいない。おかしいな…中はともかく外には軍人さんがだいぶいたはずなのに……だが、猫も妖精もなにかの気配を教えてくれるわけではなかった。人がいないのだ。
シュメッターさんはまだ頭が上手く回っていないのかこのことに対して反応を示していることはなかった。

その時、遠くで狼の声が聞こえた。他にも微かに動物たちの声も聞こえる。……どうやら、動物たちも気を利かせてくれているようだった。妖精に愛されているからなのか動物にも好かれやすいんだよね……あの森だと姿を見せることはほとんどないけど。動物も自然の括りということなのだろうか。

「…今のうちに森へ入ろう」

「みゃう」

私たちはできるだけ早くその建物から脱出した。動物も妖精も私たちを手助けしてくれていたからなにか起きることもなく、全員が無事に森の中へと入れた。

さて、ここから海へ行ってマリィの権能を使って帰ろう。私の髪は未だ白に戻っていないということは、まだ権能は使えるのだろう。
崖でもなんでもいいから海へ行ってさっさと拠点へ帰って、シュメッターさんの傷をなんとかしなくてはならない。

「……ぅみゃ、…」

「はぁ、……はぁ………」

「シュメッターさん、もう少し頑張ってください。海まで行ければ後は休んでくれていいですから」

「…はぁ、……ッはい、」

ご飯も食べられずに牢屋にいたから体力が落ちているのだろう。はやく、帰らなくては。