今日、君を拾った (ページ3)

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君を拾った3 ページ3

バケツを無事に回収し、私は家へと戻ってきた。
雨は変わらず降り続けている。

「…うなぁおん」

「あれ、猫ちゃん起きたの？」

扉を開けたらテーブルの上に置かれた布の上にお行儀よく座る猫を見た。パタン、と扉を閉めて、さてどうしたものか、と考えた。
猫は明らかにこちらを警戒している。危害を加える素振りを見せるものなら貴様を殺す、とでも言いたげである。
その目にまあ、仕方ないかと逸らして皿を見る。お粥は減っていなかった。お腹が空いてないわけが無い。きっと、警戒しているのだろう。……なんだか、人みたいな猫だな。

「……ご飯、食べない？」

「……」

「…お粥食べれないとか？」

「……」

「……えぇ…でも、たぶん、お腹空いてるでしょ？」

「……」

猫との攻防戦は一進一退どころかなにも進まなかった。猫は静かにこちらを見つめ続けている。勇気をだして、少し近づいてみる。猫は未だ見つめ続けている。
少し距離を詰めて、猫が座るテーブルへ。猫は静かに私の挙動を伺っている。私は椅子に座って、近くの棚からスプーンを取り出す。

1さじ掬って猫の方へ差し出してみる。猫は匂いを嗅ぐだけだ。やはり、警戒しているように見える。それとも、ご飯だと分からないとか？
私は差し出したスプーンを戻して自分の口へ運ぶ。咀嚼。飲み込む。べ、と口を開けた。
この行動に猫が少し耳をピク、と動かした。
私は構わずもう一度お粥を食べる。少し冷めてるけど美味しい。もう一口食べる。

そして4回目はもう一度猫へ差し出した。猫はまた匂いを嗅いで、パク、と小さく食べた。

「…おいし？」

「……」

返事はよく分からなかったが、まあ、食べられると思ったのだろう。猫は静かに歩き出し、そしてお皿からお粥を食べ始めた。よかった、ご飯食べれた。

ひとまず、大丈夫だろう。
そう思って私は椅子から立ち上がり、風呂場へ向かった。いい加減、お風呂に入らないと風邪引く。
まあ、石鹸なんてないしシャワーもないけど。フラメが温めてくれたのだろう、お湯で持ってきたタオルを濡らして体を拭いていく。
石鹸が欲しいし、シャワーも欲しい。偉人たちはどうやって生み出したのだろうか。