今日、君を拾った (ページ17)

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君を拾った17 ページ17

『エーミール・シュメッターがいるのは……この辺りね。この付近に住んでいる妖精から人の出入りがあると聞いているわ』

マリィがそういって見せてれたのは泉の水を空中で固定させ、その上でI国の地形に形を変化させたものだった。さっきの猫の傷を治したやつもそうだけど…これぞ正しく『魔法』だよなあ。

この世界は私が元々生きていた世界のように科学が発展している一面もありながら、魔法使いが少ないながらも存在する世界なのだ。
まあ、魔法使いといってもその正体は妖精だけど…何かしらの事情があって人に姿をわざと見せている妖精たちが魔法を使った結果、魔法使いと呼ばれているらしい。
科学と魔法の棲み分けとしては原理を説明できるのが科学で、原理の説明が難しいのが魔法だ。
お金持ちのコレクターや貴族、王族、皇族…地位がある人は魔法使いの道具とか集めてるらしい。腕のいい魔法使いのものなら人間でも使えるとかなんとか。

『エーミール・シュメッターも貴女と同じ愛し子だし…きっと、貴女が彼を助けに来たと言えば彼を特別好いている妖精も、森にいる妖精も力を貸してくれるわ』

「うん、いつもありがとう」

『あらっ！んっふふ…いいのよ。私たち、貴女が大好きなだけだから！嗚呼…でも、もしできるなら他の妖精にも言ってくださる？きっと喜ぶわ』

「わかった。…そうだ、マリィ」

『なにかしら？』

「この子の仲間を集める拠点、ここにしてもいい？だめ？」

『！も、もちろんいいわ！！嗚呼ッ貴女が私にお願いなんて……んふ、んっふふ！お願い…なんて素敵な響きなの……！』

「…みゃーお、……」

…すごい、今なんか猫に「愛されるのも大変だな」って同情された気がする。私も今痛感してるよ……愛って難しいね……

『そうだわ、ここを拠点にするなら貴女と子猫のための家が必要ね！どんなのがいいかしら…私たちにとって家は自然そのものだけれど人にとっては違うのよね？それならうんと、いいものを建ててあげなくちゃ…そうだわ、私の神殿と同じ造りとかどうかしら！あれにぃ寝る所とぉ、生活スペースとぉ、…』

「……マリィ？マリィ？」

『あっア！なにかしら？！もしかして貴女の好みとかあるのかしら？！』

「いや…そっちはマリィに任せるよ。最悪寝泊まりできればいいから……私はもう、シュメッターさんを助けに行く」

W国は地続きだけどI国は海を挟んでいる。I国は島国なのだ。山より海を行くのは大変だから早く行きたい。