今日、君を拾った (ページ13)

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君を拾った13 ページ13

ユガールのおかげで私と猫は随分早くT国へと到着した。国境の入国審査はそのままユガールの権能で突破した。国境検査場の警備員や入国審査待ちをしている人は私の姿を認識せずに「強い風が吹いたな」くらいにしか感じていないだろう。
元々は国境付近にいる妖精に抜け道教えてもらうか抜け道作ってもらうかしようとしていた。妖精が作る道って人にはなかなか見つけられないからさ……

さて、T国へ着いた後は泉へ向かうだけだ。国境検問所からだと……あっちだな。大きな山が見えるからあっちのはず。
泉はT国で1番大きな山の麓、小さな山々に囲まれた所にある。泉の水は山から綺麗な水が溜まってできたものだと聞いたことがある。
今はその泉の近くに神社のようなものが建てられているはずだったからそれを目指せば自ずと辿り着く。
人によって管理されている訳では無いけど…信仰の対象になっているからいつの間にかそういうものができたらしい。妖精もそうだけど人間も勝手だよな。

「うにゃん」

「…街が珍しい？」

「みゃお」

「私も普段からあの森を出ることはあまりしないからなあ……君の情報を探すために町へおりた時もだいぶ造りが変わってて知らない町に行ったみたいだったよ」

「……うなぁーん」

「……これ、もっと町にいけよって言われてる？」

猫は過ぎていく街並みを興味深そうに見ている。観光とかしたいけど私の見た目はだいぶ目立つからしてあげられないんだ。ローブなり被ったとしても怪しさMAXだもん。

山の方へ向かっていくとだんだん辺りが静かになって厳かな雰囲気へと変わっていった。
泉へ向かうまでの道は石の階段で整えられていたのでそれを有難く使わせてもらう。途中からは道から逸れて森の中へ。
確かこの辺りに…妖精の道があったはず。

「みゃーん」

「んー…ちょっと待ってね。確かこの茂みの……あ、あった」

「うにゃん？」

「妖精の道だよ。泉までの近道」

妖精が作る道は正しく魔法と言えるようなものだ。全然歩いていないのに遠くまで行けたり、妖精たちだけが住む空間へ行けたりする。
妖精の道は私のような人間か妖精くらいにしか見つけられないけど…たまに子供が迷い込んだりするらしい。7つまで神の子ならぬ、7つまでは妖精の子なのだろうか。