捨て猫と俺。【ky】 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:554 hit

1 ページ1

___ﾎﾟﾂﾎﾟﾂ…

ん？

_ｻﾞｧｧｱ…

｢うぅわ、最悪じゃん。｣

一瞬にして灰色のコンクリートを雨色が飲み込んでいく。

最近は大好きな散歩をしている時に限って
　小雨になったり、本格的に雨が降り出したり…

｢傘持ってないし急いで帰るか〜。｣

若干小走りで自宅へ向かう。

｢ん？なんだお前？？｣

ミャーオと甘えた声で近づいてきた子猫

｢お前雨に濡れたら風邪引くぞ？｣

俺の足元でずっと鳴く子猫を抱えて雨宿りできるところを探す。

一応抱えるときに母猫がいないか探したが見当たらなかったから多分こいつは母猫とはぐれたんだろうな。

｢ここなら雨掛かんないだろ？｣

濡れて毛がショボショボになった子猫に羽織っていたパーカーを被せ、軽く拭く。

拭いてあげると子猫はブルブルと水を振り払う

すると子猫はどこかへ歩き出す

｢どこ行くんだよ。また濡れちゃうぞ｣

と声を掛けるとこちらを向いて｢着いてこい！｣と言わんばかりの顔をしてまたスタスタと歩き始めた

｢はぁ。｣

屈んでいた重たい腰をよいしょと起き上がらせて仕方なく子猫に着いて行く。

｢ったく、猫ってほんと自由だよな｣

若干目線を下にして歩いていると急に視界から子猫が居なくなった。

あいつどこに消えた？と辺りを探していると右奥のゴミ置き場のところに座り込んでいる人影があった

近づいて様子を見ると多分20歳くらいの女が雨の中傘も持たずに座り込んでいた。

一瞬、この子の姿があの子猫の姿に見えた…

気がした。